Just some random stuff that I do.

Latest

Sharing

그러곤꿀을조금찍어엽궐련을말때바르거나썬담배를담배파이프에넣을때엄지손가락에침을묻혀조금씩축여서넣곤했다.

Nobu 31-40 (RAW)

第一章 人物まとめ

ちょこっとまとめてみました
読み飛ばしても問題はなかですたい
名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:普人族?
本作の主人公。御年35歳のおっさん。でも現在の肉体年齢は15歳。
真っ直ぐなようで捻くれているツッコミくせのあるナイスガイ?
どっかのだれかに異世界に召還されかけていたところを元魔王の介入によりピックアップされる。
元魔王の願いをあっさり引き受け異世界での生活を日々こなしていく。精神年齢と肉体年齢の間でひっぱりあっているのか多少情緒不安定であるがツッコミ癖は健在のようである。
先達ての出来事により強さへ対する渇望が大きくなっている。
DTではないもののそういった事に進むのには及び腰のようだ。

グネ・イノ・セトラ
ヒットマンにあっさり殺られた元魔王。
平行世界のノブサダと同じ魂を有する。平和主義で種族の差別無く受け入れていたが武闘派からは突き上げを食らっていた模様。娘大好きで後のことが心配になりノブサダを巻き込んだ。魔王らしく無限に近い魔力を使っていた。

エターニアの人々
ミタマ
本作のヒロイン候補その1
猫の獣人族。フツノの異母妹。銀髪碧眼。ノブの見立てではCかDっぽい。
クラスは狩人。得意な武器は弓と短剣。
元々無口だったが気を許した相手には割と饒舌になるようだ。
かなり食いしん坊で美味しいものに目がない。言葉数少ないが耳や尻尾は彼女の心情を多く語る。

フツノ
本作のヒロイン候補その2
狐の獣人族。ミタマの異母姉。金髪緑眼。ノブの見立てではEかFっぽい。
クラスは巫女。得意な武器は短剣、両手棍。火魔法を使う。
エセ関西弁っぽい喋り方でとても人懐っこい。それでいて包容力もあり頼れるお姉さん。だが、酒を飲むととたんに絡みだしダメな大人へと変貌する。ふさふさの尻尾はいつか触りたい。

エレノア
本作のヒロイン候補その3
普人族のギルド受付嬢。父親はグラマダ衛兵団総隊長。
クラスは魔拳士。拳で語れる有能受付嬢。金髪青眼。勤務中はポニーテールに眼鏡の素敵なお姉さん風。
ショタ疑惑があるが定かではない。料理の腕は壊滅的な模様。
スレンダーでスタイルはいいのだがバストががががが。おや、こんな時間にだれかきたようd(ry

セフィロト・ネヴィア
本作のヒロイン候補?現時点では先生枠。
ラミア族で魔道具屋『ひきこもりのラミア』を経営中。
クラスは錬金術師。人間に変身しているときはとてもグラマラスだがラミアに戻るととてもスレンダーである。
間延びした喋り方でぽややんとした性格からノブサダに経営を心配されたりしていた。
実はエロっぽいマッドな錬金術師なのかもしれない。

マトゥダ
エレノアの父。ノブサダの師匠となる。
クラスは魔闘士。タイクーン公国において五指に入る実力者。
現在はグラマダの街で衛兵団総隊長をしている。
親馬鹿でエレノアの男関係にはとてもうるさい。妻とは死別しておりエレノアと二人暮らし。
昔あった戦役にて戦鬼・ザ・マトゥダと呼ばれて畏怖されていた。

マウリオ
鍛冶屋『焔の槌』店主。通称おやっさん。
弟と二人で鍛冶屋を営んでいたが弟の突然の離職により経営方針を見直している。
重金属加工がメインだったが魔物の甲殻などの加工も請け負うようになった。
堅物っぽいがノブとは気が合うのか割と打ち解けている。
現在、鍛冶ギルド長に片思い中らしい。

カイル
グラマダ衛兵隊の西門部隊に所属する若い衛兵。
イケメンで結構いい加減だが対戦後にノブサダをちゃんと名前呼びするなどから割と素直らしい。
女好きでよく女性を口説いているが成功率はぼちぼち?

カグラ・カガミ
ギルドで出会った女性冒険者。そのうち再登場の予定。
鬼人族だが普人族に偽装している。ノブの見立てではDからEくらい。
血煙の戦乙女という物騒な称号をもっているが詳細は不明。

ミネルバ
『ソロモン亭』の看板娘。10歳くらい。
ショートカットの小柄な美少女。愛らしい顔立ちと明るい性格から常連からの支持は高い。ファンクラブまで存在するようだ。

ドヌール・ザヴィニア
『ソロモン亭』のオーナー兼料理長。ミネルバの父。
大柄で筋肉隆々だが豪快さと繊細さを併せ持つ料理長。度の過ぎた酔っ払いには容赦のない格闘術と関節技がお見舞いされる。

ベル
レベリット神殿の神官。小柄なハーフエルフでともすれば女の子に見えるが男性。
わりと不幸体質であるらしい。

ピーティア・プリティス
ドワーフで鍛冶ギルドのギルド長。女だてらにギルド長を務める女傑。

ロリコンパーティ『ソロモンの守護者』の面々
ザック
ゲルックン
グフタス
ドムトル

ストーム
宿屋『炎の狛亭』の帽子と出っ歯が特徴的な従業員。元魔術師で元冒険者。現在のクラスは商人。
面倒見の良い兄貴風だが結構したたかな部分も持ち合わせる。

ピモモ
エレノアの後輩の冒険者ギルド受付嬢。鑑定のスキルを持つ。結構腹黒い。

————————————————————

第31話 あれから、一ヶ月

第二章開始でござるぅ
 マトゥダ師匠とセフィ先生
ふたりに師事を受け始めて一ヶ月がたった。
早朝に師匠から学び転がされ死に目に会う。
真の地獄はここにあったのです!
へろへろの体を魔法で癒しギルドにて依頼を受けてこなす。
たまにセフィ先生からの依頼もこなし夜に魔法講座が開かれる。
そんな毎日が続いていた。
よく生きてたなぁ、何度も死にそうになったしね。

初日から実戦稽古で始まり、とにかく生き残ることを考えたもんだ。
組み手に始まり組み手に終わる。休憩を合間に挟もうとまた組み手。
何度も地面に転がされているうちに師匠の動きを観察する余裕が僅かだが生まれた。
識別の魔眼を駆使して師匠の動きを記憶し自分に合わせて変換。
師匠の闘い方は拳を主体にしたものだが体躯の小さい俺は体をめいっぱい使った格闘術へと昇華する。
体をイメージどおりに動かせるようになるまで3週間かかった。
とはいえ師匠とすればかなり加減しているわけで全力を出させるまでには至っていない。というか全力でやられたら10秒持たないと思う、マジで。
現在、加減された状態なら10分ほど打ち合いが出来る様になっている。

ウェポンスキルについても聞いてみたのだが『安直な技へと走るでない。基礎動作ほど基本にして奥義じゃ。いずれ機会があれば覚えることもあるじゃろう。ゆえに今は基本を大事にせい』とのこと。まったく持って正論ですがな。

体術以外にも収穫があった。魔力纏である。師匠のクラスである【魔闘士】は闘気を纏って戦う。これは魔力纏に似て非なるものであったが理屈は一緒だった。今までの俺の魔力纏はただ体から放出した魔力を表面に纏っていたものだったが無駄が多く大気中に魔力が散り散りになっていた。これが師匠の闘い方を参考にしているうちにコツを摑んだらしく収束硬化して運用できるようになった。これは大きな前進といえよう。

依頼のほうだが師匠に師事した際、金に困っているわけでもないので条件としてエレノアと街の為にできることをしていけと指定されたのだ。そこでギルドの依頼で敬遠されている案件を進んでこなして行った。依頼料も少なくほんの些細な依頼が多いが地域に密接したものがたくさんあった。依頼をこなしていくうちにそこそこ顔を知られるようにもなり街の人たちとはそれなりに良好な関係が築けたと思う。ランクも依頼をこなしているうちにFからEへ上がっている。上がったけれど宿は『ソロモン亭』のままである。やはり料理が旨いからねぇ。

そういえば背が伸びたよ。旨いメシと適度(?)な運動で成長が促されたのか155cmくらいにはなったんじゃなかろうか。でも生えない…どこがとかは聞かないでくれ。テントははるんだけどね。

夜のセフィ先生による魔法講座もまた基礎から教わることにした。あくまで俺のは我流だしな。

魔法は生活魔法をはじめ簡単なものなら多くの人が才能を秘めているらしい。だがある程度の素養と知識がないとスキルとして発現することは稀なのだそうだ。故にクラスとして魔術師を持つ者は魔術師の家系などがほとんどらしい。

魔術師のクラスを持つものにしても使えるのは1系統がほとんどでセフィ先生のように2系統使える人はあまりいないらしい。その人が得意とする魔法を頭に冠して火魔術師、水魔術師などと呼ばれるのがポピュラーだ。複数持ってる人は一番得意なものを冠するらしい。魔術師以外にも魔法適正があるクラスに関しては頭に属性を冠したりはしないっぽい。あくまで魔術師としてはってことなんだね。セフィ先生は元々魔術師のクラスだったらしいのだが所属した軍の上司との諍いから退役、錬金術師として生活していたとのことだ。だから他のクラスで魔法が使えても問題はないようである。

魔法を試行するにおいて大事なことは魔法をイメージする力とそれに注ぎ込む魔力だ。
イメージするものがはっきりしていても注ぎ込む魔力が少なければ効果は低い。
同様に魔力を大量に注ぎ込んでもイメージが定まらなければあやふやな効果しか生まれない。
つまり俺に足りていないのはイメージする力。
だからセフィ先生の講座をうけてからは毎晩、瞑想しながら魔法を組み上げることを日課とした。
さすがに宿で火魔法とか試すわけにはいかないので水と風をメインに練習する。
それを繰り返しているうちにこんなスキルを習得した。

【魔法改変】
魔法を改変して術者に合わせた形で発動する。改変した魔法は名付けることでその名前で発動が可能。

【複合魔法】
複数属性を合成した魔法。発動には相応の魔力が必要。

いろいろ考えてはいるがまだ実戦では試せていない。
なぜならあれからダンジョンへは入っていないからである。一区切りつくまでは入らないと自分自身への枷として決めていたのだ。

そんなわけで一ヶ月たった俺の状態がこの通りである。

名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:普人族?
クラス:拳士Lv8 異世界人Lv11 状態:健康
称号:【戦鬼の弟子】(new!)
HP:156/156 MP:4123/4123

【スキル】
エターニア共通語 ???? ???? 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv3 両手槍Lv2 格闘術Lv4(new!) 偽装Lv3 投擲Lv2 魔力纏Lv2 回避Lv3(up!) 身体強化Lv2(new!) トレジャーハンターLv1 神聖魔法Lv3(up!) 属性魔法適性Lv3 並列起動Lv2 魔法改変  複合魔法 生活魔法 錬金術Lv2(new!)

【固有スキル】
識別の魔眼Lv4 レベリットの加護(小改) ?????

【クラス】
異世界人Lv11(up!) 戦士Lv10 拳士Lv8(up!) 修道士Lv3 魔術師Lv4 呪術師Lv1 商人Lv1 農家Lv1 主夫Lv1 シーフLv10 狩人Lv1 錬金術士Lv1

【絆値】
フツノ 45/100
ミタマ 65/100
エレノア 40/100
セフィロト 32/100

【戦鬼の弟子】
鬼と呼ばれた男の弟子たる証。無手での戦闘時にステータスアップの効果がある。

師匠との組み手でも経験値は貰えるようでステータスの底上げの為、異世界人をセカンドに戻した。
師匠と組み手してたらいつの間にやら称号も着いてるしな。
あれ? 今気づいたけど地味に絆値も上がってる!? 差し入れに持っていったお菓子の効果かもね!

そして今日は昼から師匠に呼び出しをされている。はてな? 何のようであるか心当たりはないけれど遅刻するわけにもいかないのでちゃちゃっと行かねば。

「よく来たな、ノブサダ」
「今日はどうしたんですか?」
「うむ、実はな。お前の修行だが今日をもって一区切りとしたい」
「それはまた急な話ですね」
「明日より街の騎士団が魔物の討伐遠征にでるのじゃ。儂もアドバイザーとしてそれに同行することになっていてのぅ。しばらくの間、留守にすることになる」
「そういえばいつもいってる魔道具屋の手伝いのときに大規模遠征の為のポーション作成してましたね。あれがついに動き出しますか」
「うむ、早ければ一月もあれば終わるがそう簡単にはいくまいて。騎士団も一枚岩ではないからの」
「なるほど」
「そこでだ一応の一区切りということで修了試験を課す事にした。いまから相手が来るからそやつと対戦してもらおう。条件としてお前は無手で相対すること。勝っても負けても問題はないが無様な戦いだけはするでないぞ?」
「分かりました」
「ほぅ、思ったより落ち着いておるの」
「この間、本気の師匠と一戦してからあれより怖いものはそうないと思いまして」
「はっはっは、まぁそうそうないじゃろうなぁ。お、どうやらきたようじゃな」

門のほうに人影が見える。あれ?どっかで見たことあるぞ。

「はぁはぁはぁ、いきなり呼び出してどうしたんですか、隊長。ってノブサダもいるじゃねぇか」
「どうしてカイルがここに?」
「カイルもあれからだいぶ鍛錬を積んだのでの。丁度良い対戦相手かと思ってな」
「はぁ」
「ちょ、ちょっと待ってください。対戦ってなんのこと?」
「カイルよ。お前はこれからノブサダと模擬戦をしてもらう。お前は木剣、ノブサダは無手で戦う」
「ええっ、そんなの聞いてないっすよぉ!?」
「今言った!」
「のぉぉぉ」
「カイルよ。本気でやるように。もし負けたならお前にも今回の討伐遠征に参加してもらうからな」
「えええええ。地獄の討伐遠征にっすか。女っ気のない男だらけのあれに??ウソですよね?」
「本気も本気じゃ。行きたくなければ死に物狂いで勝ちを拾うのじゃ」
「な、なんでこんなことに」

がっくりと肩を落としながら準備をするカイル。
ひそりと小声で師匠が声をかけてきた。

「ノブサダよ。手加減は無用じゃ。思い切りやるがいい」
「流石に気の毒になってきたんですが…。いや、確実に勝てるとか不遜なことを考えているわけじゃないですけども」
「あれくらい追い込まんとあやつは本気になりゃせんからな。前までのあやつと思うなよ。カイルは本気を出せば中隊長くらいは簡単になれる実力はもっとるからのぅ」
「それは……楽しみですね」

思わずニヤリとしている自分がいる。相手が師匠だけだったからよく分からなかったけど俺ってどれくらい腕が上がったのか……試すにはいい機会だよね?

12/14 誤字修正+身長が伸びた描写を組み込み。
————————————————————-

第32話 相打つ二人、再び

「負ければ地獄、負ければ地獄。おっさんや兄さんとおほもだち…いやだいやだいやだいやだ…」

なにやらブツブツ言っているカイル。なんというか追い込まれ方が半端じゃないんですが。

「ちなみに師匠。カイルが勝ったら何か褒美でもあるんですか?」
「そうじゃな。エレノアになんぞ差し入れでも持っていかせるかのぅ?」
「マジですか!?」

反応はええな!縮地でも使ったんじゃねぇかっていう速度で食いついてきた。

「ノブサダよ、あいつに料理を教えてたのであろう?成果を試すには持って来いじゃろ」
「いや、その、ねえ」

歯切れの悪い返答をする俺ガイル。うん、確かにエレノアさんからの依頼で家庭料理をいくつか教えたけれどねぇ。作れることは作れようになった。が、味まではどうにもできなかったのです。だって、レシピ通り作ってるんだけどさ、なぜかお見舞いされるような味になってしまうのである。ある意味特殊能力だよ、あれ。いまだに原理がわからん。

「やる!やりますよ!ノブサダに勝ってエレノアさんの手料理を手に入れてやる!」

頑張れカイル、前も後ろも地獄だぞ。不憫すぎて泣けてきた。あとでなんぞ奢ってやろう。

「師匠は試食したことありましたっけ?」

師匠へ小声で問いかける。

「お主の特訓のあとはないな。少しはましになったのか?」
「あれはもはや特殊能力としか言い様がないです。同じ材料と同じ手順で作ったはずなのに胃を直接飛び膝蹴りしたような衝撃が襲ってきましたよ」
「そうか、カイルには悪いことをしたな」

そう呟いて遠い目をする師匠。

「今度、なにか旨いもんでも作ってやろうと思います」
「そうしてやってくれ」

師匠もエレノアさんの料理の腕には諦めの境地に達しているらしい。
戦場で泥水をすすっても平気だった師匠だがエレノアさんの渾身の一品では1週間の神殿送りにあったらしい、南無南無。

「さぁ、俺の準備はいいぞ。どっからでも掛かって来いノブサダぁ!」

哀れなピエロ状態のカイルではあるがこっちも負ける気はさらさらない。この一ヶ月血を吐きながら訓練した成果を試すときなのだ。

「お前に負けてから週1で隊長にシゴキを受けたんだ。もう負けないからな!」

うん、俺ほぼ毎日だったわ。自分から望んだんだけどな。
どれどれ、どんだけ変わったとな?

名前:カイル 性別:男 年齢:19 種族:普人族
クラス:戦士Lv15 状態:健康
称号:なし
【スキル】
片手剣Lv4 両手槍Lv2 身体強化Lv1 闘気Lv1

ほほぅ、レベルも上がってるしスキルも強化されているな。これは相手として申し分ない。
魔力纏を発動して臨戦態勢になる。

「それではいくぞ。はじめっ!」

「シッ」

カイルが一気に距離を詰め喉元を狙って突いて来る。

速い!だが、いなせる!

魔力を通した鉄蟻の小手を使って受け流す。そしてそのままカウンターで肘を打ち込む。

ゴスッ

確かに肘でカイルを捉えたはずだが感触がおかしい。これは、あれか。

「がはっ、くそ。前より強くなってやがるか。闘気で防御してなきゃいまのやばかったぜ」

ふむ、たしかに師匠には及ばないが闘気を使っているらしい。週1の稽古で習得できるんだからあいつの天性のセンスなんだろうな。俺はいまだに覚えてない。魔力のほうが相性いいもんだから闘気の発動まですらいってないのである。解せぬ。

「一撃で決めようとするのは悪い癖だって隊長に言われてるんだがな。ついつい張り切るとでちまうわ。だが、今ので目が覚めたぜ。こっからはそう簡単にはいかんぞ」

宣言どおり細かく切りつけてくるカイルは隙がなくこちらから攻めづらくて仕方ない。
さばいて懐に入り込もうとしてもうまく捉えることができない。こりゃさっきの師匠の例えもあながち嘘ではないかもな。

それからしばらく一進一退の攻防が続いた。

リーチの差でいまいち攻め切れない俺と大振りをやめ細かく切りつけるも以前よりもかなり硬質化した魔力纏の為にダメージを与えきれないカイル。
ふーむ、どうしたもんか…。ふむ、攻め方を変える?ありか。

さて俺に内蔵されているこの『識別の魔眼』だが師匠と稽古している間にとある機能があることに気づいた。
夜に宿でイメージトレーニングをしていたんだがそのイメージできる映像があり得ないほど鮮明なのである。前に刀を振ったときうちの爺様の記憶を鮮明に思い出されたときも不思議だったのだがどうやらこれはこの魔眼の能力のひとつらしいと思い至った。
予測でしかないが自身を識別しているなかで記憶ひとつひとつすら判別しているのではないだろうか。試しに爺様の友人であったとある武術家だった爺さんの記憶を思い返すとその型などを鮮明に思い出せた。自分で意識して思い出そうとしなければ適応されないがこれは非常に有効な能力である。ぶっちゃけチートだわな、体鍛えないと意味ないけどさ。

カイルはこっちが攻め立てなくなったからか連続して突きを放ってくる。危うくクリーンヒットするところだった。やべぇやべぇ考え事に集中しすぎだ。

それじゃこっちも反撃だ。

地に足をつけた構えからステップを踏むリズミカルな構えに移行する。

お?ちょっと警戒されたか?だったらこっちからいくぞ。
ジャブを打つような仕草から足を狙ってローキック。次いでわき腹へのミドルキック。
以前使ったヤクザキックとは違いテコンドーを参考にして組み込んだコンボ。
クリーンヒットしたようだがやはり感触がおかしい。うまいことヒットする瞬間に合わせて闘気を纏うようだ。ここらへんカイルのセンスの高さを窺わせるな。ちなみに師匠は戦闘中ぶっ続けで闘気を纏っているのでもはや別物だが。

「ちぃ、中々決まらないな」
「当ったり前だ、俺の天国か地獄かが掛かってるんだぞ」

それ天国に召されるか地獄に落ちるかなんであんまり変わってないです。

カイルの攻め方も変わった。被弾は闘気でカバーしながら上下左右変幻自在に打ち込んでくる。重量のある真剣なら無理であろう攻め方だ。その猛攻にタジタジになる。

「やられはせん、やられはせんぞー」

どっかで聞いたことのあるセリフを叫びながら勇猛果敢に攻めかかるカイル。
その連撃の内、一つがついに俺の体を捉える。

あたたた。

こちらも負けじと足払い。
避けようと飛び上がったところに左拳を突き上げる!まさに気分は昇○拳!
腹へとお見舞いするもやはり闘気で受け止めたか。だが手ごたえがさっきよりもある。
体力は随分と削れているはずだ。
どうやら闘気ってのは体力を削りながら行使するものらしい。

構え直したところに顔をめがけで大きく前蹴りを入れる。
カイルは紙一重で交わしそのまま袈裟切りにくる。
くっ、思ったよりも勢いがある。間に合うか…。

「…頑張ってー!」

ん?エレノアさんの声か!?

「エレノアさん!?俺の勝つとこばっちり見ててくd…」

って、お前が反応するのかよ。一瞬思いっきり隙だらけになった所にそのまま踵を落とす。

メゴスッ!

踵はカイルの脳天に吸い込まれるようにクリーンヒットした。

「へぶしゃっ」

潰れた蛙のように地面に転がってピクピクしているカイル。えーっと、これっていいのかね?
なんと言っていいか分からない表情で師匠を見る。案の定、師匠も苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

「勝者、ノブサダ!」

すまん、カイル。あの感じだと庇い立ては流石に無理だ。

「ノブサダ。こやつはこのまま遠征に連れて行く。もう一度精神を鍛え直さんとどうにもならんからな」

さらばカイル、お前のことは忘れない…一週間くらいは。

「帰ってきたらまたお互いの成果を見せてもらおう。こやつと違ってそこまでの心配はいらんじゃろうがな」
「はい!」
「では儂はこやつを放り込んでくるでな」
「師匠もご健勝で!」
「うむ」

気絶したままのカイルを抱えて師匠は門を出て行った。恐らく兵舎へと向かったのだろう。
あ、そういえばエレノアさんのこと忘れてた。

「エレノアさんはどうしてここに?」
「…昨晩、父がなにやら楽しそうに思案していたから気になったので、つい」
「仕事を抜け出してきたと?」

コクリと頷く。

この一ヶ月の間で色々と関わって分かったが彼女は案外子供っぽいところがある。
こうと決めたら譲らない頑固なところもある。
まぁ、そこらへんも可愛いと思えてしまうのだから不思議だよね。

「それはまた、ご心配をおかけしました」
「いえ、私が勝手にしたことですから」
「エレノアさんはこれからギルドに?」
「はい、ちょっと抜け出してきたのですぐ戻ります」
「それじゃ送りますよ。ついでに差し入れでも持って行きましょう。何がいいですかね」
「ありがとうございます。最近できた菓子店『レーヴ』のフラゴ(苺っぽい果実らしい)のタルトが人気らしいですよ」
「ほほう、それは美味しそうだ」

「そうえばノブサダさんはこれからどうするんですか?」

小さめのタルトの詰め合わせを買ってギルドへ向かう途中エレノアさんから尋ねられる。

「そうですね、師匠のお墨付きを貰ったんでこの街のダンジョン踏破を目標に活動していこうと思います」
「再開されるんですね。あれから低階層での強敵遭遇の報告はきていませんが気をつけてください」
「ええ、ありがとうございます」

あれってばやはり俺がいたからなのかね。調整してないだだ漏れの魔力が原因?もしそうならうまいこと利用すれば湧く魔物を調節できる?あると思います!

エレノアさんを送っていった後、再開するダンジョン探索の準備をするため一旦宿へ戻っていた。
とりあえず現在の装備を確認しておこうか。

武具
ヤマトブレード『月猫』、鉄の槍、ショートボウ(現在矢なし)、鉄蟻の拳甲、剥ぎ取りようのナイフ

防具
鉄蟻の胴当て、鉄蟻の脚絆、鉄蟻の小手

道具・消耗品
ポーション×3、キュアポーション×2、針、包丁、マジックリュック(40kg)
所持金:32,243マニー

食料など買い込むにしてもやはりマジックリュックの予備が欲しいところだな。とはいえ、買うとなると資金的に厳しくなる…。
セフィさんに相談してみるか?うん、そうしてみようか。よし、まず『引きこもりのラミア』へいってみよう。

————————————————————-

第33話 ごめんなさい、できちゃった♪

「こんにちはー」

タタタタタ
ずべしゃっ
お約束をありがとう、セフィさん

「はいはーい、どなたぁ」
「ども、セフィさん。ちょっとご相談がありまして」
「あらぁ、ノブちゃん。今日はどうしたのぉ」
「マジックリュックなんですけど安いのとかありますかね?」
「んー、以前のと同じのしかないわよぉ。あれって基本的に売れたら作るものだからぁ」
「あれってセフィさんのお手製なんですか!?」
「あれ?言ってなかったかしらぁ」
「初耳ですね。俺でも作れます?」
「んー、本当なら内緒なんだけどノブちゃんは私の生徒だしねぇ。誰にも言わないことを条件に教えてあげるわぁ」

おお!言ってみるもんだ。

「ええっとねぇ、作ること自体は簡単なのよぉ。ただ、材料が特殊でねぇ。錬金術ギルドから購入するには少なくとも錬金術がLv5に達してないといけないわぁ」
「なんと」
「これはねぇ、暴走する危険性があるからなのよぅ。用意するものは媒介となる入れ物。リュックやポーチなどねぇ。あとは付与する為の魔方陣が描かれた羊皮紙。そして最後にさっき言ったギルドから買わないといけない時空石と呼ばれる触媒よぉ」
「思ったよりも少ないんですね」
「そうねぇ、マジックリュックの値段が高いのはほとんどこの時空石がお高いせいなのよぉ」

手順だが

1:魔方陣の中にリュックと時空石を配置
2:魔力を魔方陣へ流し起動
3:起動したら時空石へ魔力を封じ込める。
4:十分に魔力を込めたら魔方陣の合成呪文を唱えうまく融合すれば完成

思ったよりも簡略してあるのな。

「もしですが、俺が作るのを試みたいって言ったらできますか?」
「んー、一人でやるのはおすすめできないわぁ。ノブちゃんにはまだ魔方陣制御とか教えてないでしょ?だから、どうしてもって言うなら私が手伝ってあ・げ・る」
「いいんですか?」
「いいわよぉ、その感じだとなにか試してみたいことあるんでしょぉ。ノブちゃんたら分かりやすいからねぇ」
「分かっちゃうもんですか。まぁ準備できる資金も限りがあるので相談にのってもらえますか?」
「ええ、どんなことを試したいのぉ?」

俺が試してみたいのは魔力に親和性の高い布地もしくは皮を使って俺がポーチを作る。このとき魔力を出来るだけ込めて封入魔力を高める。
さらに俺のアホみたいな量の魔力をギリギリまでつぎ込んで内容量を広げたい。これが実現できるなら色々と使い道が広がるよね。

この一ヶ月の修行の際に俺の魔力量が多いのはセフィさんも知るところである。

「そうねぇ、時空石は明日ギルドへ行って買ってくるわぁ。あと魔力に親和性が高いとなるとうちにあるものの中だとオーロララビットの革ねぇ。結構お高いわよぉ」
「お、おいくらでしょう?」
「時空石は1000マニー、オーロララビットの革は袋を作る分くらいになると1100マニーよぉ。魔方陣の羊皮紙はうちで使ってるのがあるから御代はいいわぁ」
「それでお願いします。それじゃ袋ができたら持ち込みますね」
「はーい、いつでもいいわよぉ」

オーロララビットの革は名前のごとくオーロラのように光る…なんてことはなく白いものだった。生きているうちは光っているのだが死ぬと真っ白になるらしい。手触りがいいので素材としてはかなりいいもののようだ。
受け取った革を手に宿へと戻る。
早速採寸して袋をつくろう。今回は素材の大きさもそれほどではないのでポーチにしよう。
革を寸断するところから意識しながら魔力を通す。ちなみに寸断につかったナイフと針は以前使っていた鉄の剣を溶かして材料にした。そのためか分からないけどよく手に馴染むのでお気に入りである。

そうして出来上がったのがこのポーチ。

オーロララビットのポーチ
品質:高品質 封入魔力:38/38
備考:オーロララビットの革から作られた純白のポーチ。作る際に魔力を通しながら作られた為、ポーチ自体が魔力を帯びている。

うぇあ!?思った以上に品質高いのできました。これで合成したらどうなるんだろう。

翌日出来上がったポーチを持ってセフィさんのところへ向かうと「もうできたのぉ!」と驚かせてしまった。うん、夢中になって徹夜しちゃいました。

「それじゃいくわよぉ。魔方陣制御は私がやるからノブちゃんは時空石に魔力を込める役ねぇ」
「合点です」

セフィさんが魔方陣を起動すると羊皮紙に描かれた魔法陣が淡い光を燈して行く。

「さ、ノブちゃん魔力を込めていいわよぉ」

俺は時空石に触れるとありったけの魔力を込めていく。むむ、込めた魔力がどんどん吸い取られている感じがするな。是非もなし、どんどん喰らうがいい!
俺から溢れんばかりの魔力の奔流が流れ出す。
セフィさんが青い顔をして慌てているけどさ。

「ちょっと、ノブちゃん、もういいわぁ。それ以上やると魔法陣が壊れちゃうわよぉ」

ぜはーぜはー、ちょっとやりすぎてしまったようだ、てへ。

「最後の仕上げねぇ。『時空石へと込められし力よ、捧げしものへと宿りて固着せん』」

セフィさんが力ある言葉を唱えると魔法陣はひと際強く輝く。その光は時空石と共鳴し石ごとポーチへと吸い込まれていった。流石ファンタジー原理がまったくわかりません。ええ、うまいこと出来上がれば文句はないとです。

「なんかすごいのできちゃった♪。こんなの私も見たことがないわよぅ」

セフィさんが感嘆をもらす。
さて、どんなんになったのかね?

マジックポーチ
品質:国宝級 封入魔力:110/110
所有者認証:ノブサダ
使用者登録:設定なし 設定なし
備考:2t以上のものが収納可能。持ち主の魔力を記憶しており現在持ち主以外が使用できない。魔力を登録することであと2名まで使用可能な人数が増やせる。ポーチの中に収納中のものは劣化しない。ポーチ自体は魔力が通っている為、非常に丈夫になっている。

とんでもないもんできてしもうたぁぁぁぁぁぁぁ。だって俺のMPで4000ほどぶち込まれてますもん。

「こ、国宝級!?」
「ええええっ、それは本当なの、ノブちゃん!?」
「鑑定では確かにそうでてます」
「とんでもないわねぇ。これは他の人には言っちゃまずいわよぉ。真っ先に狙われちゃうわぁ」

ですよねーー。

「すいません、これのことは他言無用で…」
「わかってるわぁ。これが量産できるなんて知れたらノブちゃんは一生監禁されても不思議じゃないわよぉ」

恐ろしい、命が軽いこの異世界じゃまったく笑えないなぁ。

「それじゃ明日以降はダンジョンへ潜ろうと思います。何か面白い素材あったらもってきますね」
「はいはーい、ノブちゃんはなんでか色々と遭遇しそうな気がするから注意するのよぉ」

むぐぐ、なんでか行く先々で心配されてるなぁ。そんなに不幸オーラでもでてんのかね、俺ってば。

さーて、出来上がったポーチはドロップ品をどんどこ詰め込んでいくことにしよう。こいつが一杯になるまでアイテム落っことしてくれんかね、たのんますよ【トレジャーハンター】さん。

————————————————————-

第34話 いってきますよ、ダンジョン

 日課の素振りと朝食を済ませて俺は今、食料や消耗品を買い込みに来ている。
とりあえず今回は5Fにいるであろうフロアボスを目指して進もう。
何かあったときに備えて一週間分を目途に買っていきましょかい。新しいほうのポーチにいれとけば腐ることもないからなんでもいけるな。

「おお、ノブ君。一昨日は子守ありがとう。嫁もやっと一息つけたって言ってたよ。さっき出来たてのパンだけど買っていくかい?」
「それは良かった。そんじゃ、このパン一斤とハムサンドを3つお願いします」
「おう、ノブサダ。この間は店番ありがとうよ。いい肉入ったがどうだい?」
「おっちゃん、ブロックでこいつをひとつたのまぁ」

依頼で仲良くなった商店街の面々が声をかけてきてくれる。パンや串物など手軽にいけるものからその場で焼いて食べるようにブロック肉、あとは塩だけじゃ寂しいので香辛料を少し。飲み水は魔法で作り出せるしいまある水袋に入るだけ持ってと、果実やなんかも持っていこうか。バナナはおやつにはいりますか?いいえ、主食です。やべぇ、どんどん増えていく。ノリは遠足みたいになってしまった。

そして再びやって来ましたダンジョン内部。
まずはリベンジと検証のためあのオークが湧いた小部屋へと向かおうか。

ギャィィィン、ギャリン、ドォォォン

小部屋に着くとすでに先客がいたようだ。
人数は4名。若い男三人ともう一人は獣人族で首輪をされている。獣人族の男は前線で三人の盾役となっているようだ。あれは…奴隷か?
この異世界にはご他聞にもれず奴隷制度がある。
戦争で捕虜になり保釈されなかったもの、犯罪を犯したもの、多額の借金から奴隷落ちしたもの、親に売られたものなど様々な要因から奴隷となるものがいる。その扱いは苛烈な場合が多く、特に冒険者に買われた場合、荷物持ちならまだいいほうで多くの奴隷は前線での盾扱いなどと酷使される。
どうせなら美人さん集めてパーティ組んだほうが…いや、それはそれでつらいな。でも、男なら夢見ちゃうよね、うん。
とりあえず先客居るならここは諦めるか。3Fへ向かうかね。

手近な犬たちを鉄の槍で突き刺しつつ3Fへの降り階段を目指す。たしかそこの曲がり角を曲がった先か。

ドドドドドドドドドド

なんだ!?後ろから轟音と振動が近づいてくる?

「ウワァァァァァ」

さっきの小部屋で見かけた二人が勢いよく俺の横を駆け抜けていく。
ちょっと待て!もしかしてトレインか!?
来る!見えるだけで数にして20匹近くか。多くはポーンドッグだがゴブリンも数匹見える。
俺も走るか?いや、降り階段付近なら次の階層に向けて休んでいるパーティがいるだろう。その中にこの魔物を突っ込ませたら…うん、下手したら地獄絵図になるよね。
あの逃げてった二人が警告でもすりゃいいんだろうが俺がいても声すらかけないところを見るとそれも期待できないだろうな。
まぁ試したいこともあるしやってみるか。
使っていた鉄の槍をリュックへと戻して月猫を装備し魔力纏を発動して迫り来る魔物たちへと向き直る。

さぁて練り上げた魔法のお披露目だ!

「ラーヴァウォール!」

溶岩の壁が通路一杯に広がった。フレイムウォールとアースウォールを合わせたマグマの壁を作り出す複合魔法である。

ギャワンギャワン

勢いよくマグマに突っ込んだ魔物たちはほとんどが動くことも出来ずに消滅していく。

「ラーヴァブリッツ!」

圧縮されたマグマの弾丸が残った魔物へと次々撃ち込まれていく。これまたファイアアローとサンドアローを組み合わせさらに圧縮し回転も加え貫通性を高めた複合改変魔法だ。物理と属性を兼ね備えているから汎用性は高いはず。

うん、これは使い勝手がいいな。
ただ、MPはごっそりもっていくけどな!

ラ-ヴァウォールを解除して奥を見渡すとまだ動いている物影がある。ゴブリンか?うぉ、止まろうとして後ろから押しつぶされかけてたのか。これは無残。
ギシャアアアアア
比較的無事であろう個体が俺へと飛び掛って来た。
師匠に比べたらスローモーションに見えるがな!
鯉口を切っておきタイミングを合わせ…一息に抜刀する。
スパァァァァン
淡い光で包まれた刀身は飛び掛ってきたゴブリンを一刀の元に両断した。
返す刀で残りのゴブリンを切りつけていく。この『月猫』、切れ味が尋常じゃないな。鉄の剣とは桁が違うなぁ。

ほどなく通路に動いている魔物はいなくなった。残っていた魂石や小銭などを回収して降り階段のところにいるであろうあの二人を探すか。一言文句言ってやらにゃ気がすまん。ん?二人?
残りの二人はどうしたんだ?

あいつらへの問い詰めはまぁやらんでも構わんけど残された二人は不憫だな。ちょっと戻ってみるか。
物音しない通路を戻っていくとそこにはボロボロになって覆いかぶさっている獣人族の男と同じくボロボロの魔術師の若者がいた。

「おい、大丈夫か?」

気絶しているのであろう若者のほうは反応がない。獣人のほうはピクリと動いてこちらを向いた。

「貴殿は?」
「通りがかった冒険者さ。まぁお宅らの連れに魔物の群れを擦り付けられたけどな」
「それはまっこと申し訳ない。拙者が五体満足であったら体を張ってでも食い止めたのであるがな…」
「魔物自体は片付けたから問題はないさ。お前さんとそっちの若いのは無事なのか?」
「…拙者はもう駄目であろうさ。先ほどから体の感覚がないのでな。こちらの我が主は命には別状はないはずである。まっこと不躾ではあるがひとつ貴殿に頼めないだろうか?」
「その若いのは貴族の坊ちゃんか?そいつを出口まで連れてけってか?」
「左様。拙者は奴隷の身なので礼をすることもできぬがなんとか頼めないだろうか」
「だが、断る。自分で連れてけ。俺は男を助ける趣味はないんだよ」
「ぐぅぅ、無念」
「今から起きることは他言無用だぞ?もしも漏れたら今度は俺がたたっ切るからな」
「な、なにを?」

俺は二人に手を向け集中していく。

「ハイヒール!」

ヒールと違い強い光が二人を包んだかと思うとボロボロだった二人の体はまるで録画の逆再生のように癒されていく。
信じられないような顔で自分の体がまともに動くことを確認している獣人の男。ぬっふっふ、こんなに効果があるなんて使った俺もびっくりだ。

「なんと!?これほどの癒し手など見たことが…」
「だから他言無用だと言ったろう?お前さんの武器は?」
「先ほどの戦闘で失ってしまってな予備の武器も無いゆえこの様と相成った」
「んじゃこの槍とポーション貸してやるよ。ちゃんと返せよ?『ソロモン亭』に常駐しているノブサダ宛に返してくれればいい」
「すまぬ、必ずお返しするゆえに。拙者、獅子族の戦士レーヴェと申す。こちらの我が主はライエン家が次男ジョー・ライエン様である。彼の方の名の下に必ずやこの借りは返させていただく」
「あんまり重っ苦しく考えなくてもいいさ。とりあえず一緒に行動する仲間はもうちょいと選んだほうがいいかもな。あいつら逃げる先にいた俺に『逃げろ』のひとつもなく駆け抜けていったからな。同業としてちと考えさせられるぜ?」
「なんと。我が主を見捨てた挙句そのような…。かの者らに報いは必ず受けさせるゆえ平にご容赦を」
「ああ、まぁ気にしてない。ああいうのは何れ痛い目にあうだろうさ。因果応報ってな」
「然り。ではノブサダ殿、恩にきる」
「気をつけてな」

なんとも古風な感じの戦士だな。あ、鑑定しとくの忘れてた。まぁ縁があればまた会うだろうさ。
さてと順番は狂ったがあの小部屋へ向かおうか。

そういやあんだけ倒したがてってれ~♪が無かったな。オークのときので効果音オフにでもなったのかね。
どれどれ。

名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:普人族?
クラス:拳士Lv10  呪術師Lv6
状態:健康
称号:【戦鬼の弟子】
HP:166/166 MP:4003/4148

【スキル】
エターニア共通語 ???? ???? 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv3 両手槍Lv2 格闘術Lv4 偽装Lv3 投擲Lv2 魔力纏Lv2 回避Lv3 身体強化Lv2 トレジャーハンターLv1 神聖魔法Lv3 暗黒魔法lv1(new!) 属性魔法適正Lv3 並列起動Lv2 魔法改変  複合魔法 生活魔法 錬金術Lv2

【固有スキル】
識別の魔眼Lv4 レベリットの加護(小改) ?????

【クラス】
異世界人Lv11 戦士Lv10 拳士Lv10(up!) 修道士Lv3 魔術師Lv4 呪術師Lv6(up!) 商人Lv1 農家Lv1 主夫Lv1 シーフLv10 狩人Lv1 錬金術士Lv1

ふむ、やはりオフってるか。まぁ支障ないしのーぷろぶれむ。
ぬ、暗黒魔法が増えてるぞ!?これは使ってみるべきであろう。結構、有効そうな魔法ありそうよね。
拳士を修道士に変えてっと。オークを待つ間に修道士とか二桁にあげておきたいな。

さーて、刀の修練も兼ねてるんだからさっさと湧くがいいさ、魔物ちゃん!

12/14 誤字修正
————————————————————-

第35話 りべんぢ おぶ おーく ぷらすあるふぁ

 スパン スパン スッパアアアン

切れる切れるぞぉまっことよく切れるがじゃぁぁぁぁ

おっと土佐弁になっちょる

どうも、湧いてくる犬を捌きつつのノブサダです。

あれから一休みを挟んで湧き出る魔物をズンバラリンと切り刻んでおります。
すごいね『月猫』。刃こぼれもあっという間に修復しちゃうもんだから俺の魔力と体力が続く限り殺れそうです。うほっ、物騒な変換になってた。

【トレジャーハンター】さん、お仕事サボってますか?ドロップがしょぼいですよ??

狩り続けること1時間。キテマスキテマスきすぎてます。
この感じ、まごうことなくあの時の再現です。魔力纏を以前と同じように展開していたらついに起こりました。やはり原因は俺か。ごめんよ、ミタマ。
メインクラスを異世界人に、セカンドクラスを戦士に変えておく。一応、一番高いのに戻しておいたほうがいいだろう。
通路への道が黒いもやで覆われ退路は塞がれた。
さぁ、あのときの悪夢。ばっちり晴らさせてもらいましょか。

ブフォォォォォォ

そして湧き出たオーク…あれ?前よりでかくね??そして得物も大剣になってるし。

オークガード Lv18
HP:135/135 MP:0/0
豚面の大柄な魔物で門番を務める。動きはさほど素早くないものの膂力が非常に高く力任せに振るわれる一撃は危険。ゴブリン同様多種族の女性を孕ませて繁殖することから激しく忌避される。

うへっ、レベルアップしてやがる。だが以前のような威圧感は感じないな。油断は出来ないが負ける気はしない!

「プロテクション」

神聖魔法のプロテクションで防御能力を上げる。

ノブサダ・イズミ、いざ参る!!

大剣を振りかぶり力任せに叩きつけるオークガード。だが遅い!

「当たらなければどうってことはないのだよ」

まずはその左腕を貰おうか。

プギェェェェェアアァァァァァ

スパンと音を立ててあっさりとオークの左腕は切断される。
返す刀で…ってうおぉぉぉ片手で大剣を横薙ぎしてきよる。大剣に左腕ついたままだぜ、おい。屈んでかわしてそのまま左足を切り捨てる。

プギョッァァァァァア

なんというか師匠という存在を相手にしてきたせいかレベルとクラスが上がってるはずのオークが格下に見えるな。倒れ込みもんどりうっているオークガードの首を刎ねて止めを刺す。

「成敗!」(暴れん坊なあの人風に)

これであのときの悪夢は清算だな。油断はしないがもう大丈夫だろう。

コロコロン

オークガードの体が消滅するとそこには魂石と金色の玉が2つ、そしてやつの使っていた大剣が落ちていた。
魂石の色は橙、前のよりも多少大きいか。この金色の玉はいわずもがな、アレである。
【トレジャーハンター】さん、いいお仕事です。今後ともよろしくお願いしますよ。

オークガードの睾丸
品質:良
備考:錬金術で加工すると精力増強、不能・不妊治療などに大きな効果がある。オークのものよりも品質が高い。

これはまたなんともいえないモノがきましたな。そういえば錬金術で加工するならギルドの中間マージンとばして純利益アップするかね?帰ったらセフィさんに相談だな。

オークガードの大剣
品質:並 封入魔力:0/0
備考:オークガードが使用していた大剣。ほとんど切れないが叩き潰すようにして使うので問題はない。

んー、微妙な性能だがまぁ多少の足しにはなるだろう。

全部をポーチへと放り込んで後始末は完了だ。
よし!りべんぢも果たしたし5F目指して突き進みますか!

3Fにはコボルトが追加された。
4Fではポーンドッグの姿が無くなりナイトドッグが常駐していた。
5F、ゴブリンにクラス持ち?アーチャーやソルジャーなどになり全体的に強くなっている。

まぁ、あれよあれよともうボス部屋なんですけどね!
ゴブリンの団体さんが相手のときとか結構危なくなったがオークに比べれば軽いもんだ。
そういやすっかり忘れてたけど通ってきた道にあの若い冒険者二人組いなかったな。貴族の坊ちゃん見捨てて逃げたら今後の芽はなさそうな気がするがな。同情する気はさらさらないけど。

ボス部屋の前には5人組の冒険者パーティが待っている。どうやら他のパーティが入っていると入室できないシステムなのね。
軽く会釈をして後ろに並ぶ。あちらさんも随分と緊張しているのか無言で固まっている。

程なくして部屋をふさいでいた障壁は無くなり待っていた一団が部屋へと足を踏み入れる。
ご同業だし無事に繰り抜けて欲しいもんだ。

15分後、部屋の障壁が無くなった。

ふぅ、何が出てくるかね。こういうのは本当に慣れないなぁ、心臓が早鐘を打っているよ。
部屋へ足を進めるとあの小部屋のごとく退路は障壁によって塞がれる。
って、さっきのパーティ全滅してるじゃねぇか。そこにはへしゃげた防具や血だらけの剣などが散乱していた。
もし俺が生き残ってたらギルドカードは冒険者ギルドへ届けてやらんとな。その為にも死ぬわけにゃいかんぞ。

部屋の奥には先ほどまで戦闘していたであろうボスが鎮座している。

???ゴブリン Lv??
HP:182/240 MP:23/35
???????????

鉈状の片手剣?を持った赤銅色のゴブリンだ.っていうかレベルもなんも見得ないぞ。なんで5Fなんて低階層でこんなのでるんだよ。

どうやらこっちに気づいたか?

ギロリとこちらを睨んでいる。こちらもすかさず魔力纏を展開。防御・魔法防御を高める為に魔法を発動する。

「プロテクション!マナシールド!」

魔力で形成されたエメラルドグリーンの衣が体を包み込む。

実験段階だがこいつも喰らっとけ!

「ブラスターバーン」

絡み付いてじわじわと焼いていくのをイメージしてみた改変魔法だ。
帯状に放射された炎が赤銅ゴブリンへとまとわりつく。
ふはは、燃え盛るがよいのです。

あれ?なんか沈下してませんか?というかゴブリンの赤みが益々濃くなってますけどもしかして吸収されてます?くそう、この魔法は破棄だ!ぽーい。

ギェェェェェオ

こっちの魔法を美味しくいただいたゴブリンは口から炎を吐き出した。
お前はどっかのドラゴンかよ!?

マナシールドと魔力纏で多少熱い程度で済んではいるが前が見えん。一面炎だからな。
こっちも負けじと魔法で応戦しますか。当方に迎撃の用意はあるのだ。

イメージは氷柱。鋭い槍。水魔法を改変、決して融けない至高の氷槍を紡ぎ出す。

「アイシクルランス!」

並列起動で合計5本の氷槍を炎の中、ゴブリンへ向けて撃ちだす。

ドガガガガ

なにかに突き刺さったような音がして炎が止む。

ギ、ギィィィィ

見れば放った氷槍の一本がゴブリンのわき腹へと突き立っている。
だがゴブリンは突き立ったままこちらへ飛び掛ってくる。
横薙ぎに縦薙ぎに鉈を振るう。その動きはわき腹へ氷槍が突き立っていると思えないほど素早い。
後ろへ大きく下がろうとするもその鉈の一撃は俺の左腕を捕らえる。
ザシュッ
横なぎの一撃は魔力纏を切り裂き俺の腕からは血飛沫が飛び散った。
切り口は浅い。
まだまだいける。負けじと月猫を振り下ろすも鉈にてガードされる。
お互い距離をとってにらみ合うもそこでゴブリンがにやりと顔を歪めた。

なんだ?
なにを狙ってやがる?

その時だった、視界がぐにゃりと歪み平行感覚が狂ったように体がぐらつく。
なんだこれは?
隙を突くかのようにゴブリンが再び鉈で切りかかってくる。

くそっ!
吐き気と寒気が襲い立っているのが辛くなってきた。ゴブリンの猛攻を辛くも避けつつ状態だけでいい、自分の体を見やって急ぎ鑑定してみる。

名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:普人族?
状態:毒

毒!?あの鉈に毒が塗ってあったのか。姑息なことをしてくれやがる。俺も前にやったけどな!

「キュアポイズン」

一気に体が楽になる。これは厳しいな。状態異常ってなこんなにきついのか。
なによりあのゴブリンの表情がむかつく!ニヤニヤとこちらを甚振るかの様に切り刻んできやがる。

「アクアウォール」

ギギィィィ

突如現れた水の壁に怯んだか後ろへ下がるゴブリン。
だが、そいつは間違いだ、ちょいと喰らって逝け!

「ライトニングストーム!」

バリバリバリバリ

激しい音と共に雷撃が周囲一面を蹂躙する。後ろへ下がったゴブリンは思いっきり巻き込まれ痙攣しながら立ち竦んでいる。
だが、まだ動いている。なんつーしぶとい。
だったら収束してもう一丁!もう、近づくことなく決めてやる。

「ライトニングブレーク!」

指先から収束された雷撃がゴブリンへと一気に襲い掛かる。

バリバリバリバリ

魔法の効果が切れると糸が切れた操り人形のようにゴブリンはパタリと倒れた。

「ふぅー、なんとかなったか」

いやぁ、状態異常の恐怖たるやないな。魔法が使えなかったらと思うとゾっとする。
っつーかこのゴブリンはなんだったんだ?
粒子と消える前にもう一度ゴブリンを識別してみる。

バーンゴブリン Lv20
HP:0/240 MP:0/35
炎を纏うゴブリンの変異種。火属性の攻撃は相手の回復を促す。

変異種ってか。普段湧くボスとは違うのか?
考察している間にゴブリンは光と消え去った。

うだうだ考えても仕方ない、戦利品を回収しますよっと。

ゴブリンの毒鉈
品質:低品質 封入魔力1/1
備考:品質は悪いが魔力を通すことで切りつけた相手に毒を与える。

魂石は橙、オークと比べると小ぶりである。
あとは冒険者のものであろう武器防具などを回収していく。
ダンジョンというものは人の体すら光の粒子にして取り込んでしまうのだろう。そう考えると空恐ろしいもんである。
おっと、忘れずにクラスは変更しておこう。何があるか分かったもんじゃないからな。

回収を終えて奥にあるポートクリスタルへ触れると浮遊感に包まれた。
一瞬で景色が切り替わるとそこはダンジョンの入り口にあるダンジョンクリスタルの前であった。
これは便利だな、次からは5Fから探索できるらしい。

なんちゅうか一週間かけるつもりが一日で駆け抜けちまったなぁ。ただ、問題点も多々浮き彫りになったな。ソロだと色々と対応しきれないことが多いわ。
ギルドに諸々報告したらちと今後の計画を練り直さないとだなぁ。

————————————————————-

第36話 お悔やみ申し上げます、冒険者

 夕焼けがやけに赤くみえるのはなんでだろう。どうもノブサダです。
そんなあっしは現在、冒険者ギルドにいるでやんす。

「エレノアさんただ今戻りました」
「お帰りなさいノブサダさん。ご無事なようで何よりです」

念のため小声でエレノアさんへ語りかける。

「ありがとうございます。ちょっとお聞きしたいのですがダンジョンで壊滅したパーティの遺品を見つけたのですがどうしたらいいものでしょう?」

ガタン

動揺からかエレノアさんが椅子から立ち上がる。

「壊滅…ですか?ノブサダさんは何階層まで行ってこられたのですか?」
「5Fのボス部屋ですね。前に並んでいたパーティが赤銅色したゴブリンに倒されたようです」

そう言って落ちていた5枚のギルドカードを差し出す。受け取り名前を確認したエレノアさんがため息とともにこちらを見据える。

「たしかに当ギルドに登録していた冒険者パーティです。ノブサダさんはそのゴブリンを倒されたのですよね?」
「ええ、彼らがだいぶ弱らせていてくれたのでなんとかなりました」

うん、弱らせていてくれなかったら長丁場になってたかもしれんもんな。

「残りの遺品はどうしましょうか?遺族がいるなら形見として渡しますか?」
「いえ、冒険者としてのルールでいえばギルドカードさえ届けていただけたら他の物品は発見した方のものとなります。ですのでノブサダさんがお持ちいただいてよろしいと思います」
「うーん、一応遺族がいるかだけ伺ってもいいですか?届けれるなら一品ずつでも届けてきますよ。弔うにしてもなにかしらあったほうが残されたほうとしても気持ちの整理がつきますからね」
「お優しいのですね。この5人の中ですと2人だけ身元が確認できています。こちらの住所にご家族がおられるはずですね」
「ありがとうございます、明日にでも届けてきますよ。それとこれは別件なんですが…」

エレノアさんに2Fであったトレイン騒ぎを報告しておく。引っ張ってきた魔物は俺が倒したので問題はなかったのだが見捨ててきたのが貴族の坊ちゃんなのでギルド的にもなにかしらまずい事になるのではないかと心配したからである。

「…そんなことが。たしかにその方々は当ギルドへ冒険者登録されていますね。どういった事になるかはまだ分かりませんがノブサダさんの報告のおかげで前もって対応ができるかと思われます」
「一緒に居た獅子族の獣人はこちらへ来てはいないのですね?」
「ええ、先ほど他の受付にも確認しましたが今日はこちらへ来ていないようです」

恐らくだが宿か神殿にでも担ぎ込んでいるんだろう。外傷は俺の魔法で完治しているはずだからな。魔術師っぽかったし体力的なもんだろう。

「わかりました。それじゃ俺は買取カウンターで清算してから帰りますね」
「はい、ゆっくり休んでください」

さてととりあえずあの冒険者パーティの遺品抜きで清算しますかね。あ、オークのアレも抜いておかんとだな。

今回持ち込んだのはこの品々と買取金額なり。ちなみに小銭は102マニー分だった。
魂石(黒)×13 一個9マニー
魂石(赤)×6 一個50マニー
魂石(橙)×1 一個95マニー
魂石(橙)大きめ×1 一個147マニー
オークガードの大剣×1 買取不可
ゴブリンの毒鉈×1 買取不可

武具系は駄目でした。おやっさんとこに持って行きませう。
しめて761マニーとなりました。まぁ最大の目玉であるアレはまだ清算してないしね。これはセフィさんとこ持って行ってからのお楽しみだ。
それでも結構な額になったかね。一日の稼ぎとしては駆け出しなら飛びぬけて多いはずだわさ。
割と満足のいく結果にはなっただろう。
さ、すっかり忘れてたがステータスどうなってるだろうか。

名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:普人族?
クラス:戦士Lv10  呪術師Lv9
状態:健康
称号:【戦鬼の弟子】
HP:204/204 MP:65,635/65,635

【スキル】
エターニア共通語 ???? ???? 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv4(up!) 両手槍Lv2 格闘術Lv4 隠蔽Lv3 投擲Lv2 魔力纏Lv3(up!) 回避Lv3 身体強化Lv2 トレジャーハンターLv1 神聖魔法Lv3 暗黒魔法lv1 属性魔法適正Lv3 並列起動Lv3(up!) 魔法改変  複合魔法 生活魔法 錬金術Lv2

【固有スキル】
識別の魔眼Lv4 レベリットの加護(小改) ?????

【クラス】
異世界人Lv15(up!) 戦士Lv10 拳士Lv10 修道士Lv10(up!) 魔術師Lv8(up!) 呪術師Lv9(up!) 商人Lv1 農家Lv1 主夫Lv1 シーフLv10 狩人Lv1 錬金術士Lv1 魔法剣士Lv1(new!) 時空魔術師Lv1(new!)

ついにMPが5桁……。固定砲台にでもなるかね。ばんばん魔法使っていこうか、もう。
クラスだがなんか中二的なの増えてはるーー!
迷うことなく変更したけどねー!魔法剣士/時空魔術師である。
追加の条件は15になったからか?時空石に触れたから時空魔術師追加かね?

あ、そういえば暗黒魔法って何使えるんだっけか?

【暗黒魔法】
闇の力を操り様々な効果を及ぼす。状態異常の効果、成功率はレベルと込める魔力量によって上下する。
使用可能魔法一覧 ※適正レベルにより順次解放
Lv1 ペイン、シール
ペインが四肢に痛みを与える、シールが封印?なんか使い勝手がどうなのかわからんぞ。

一週間を費やすつもりがもう5Fを踏破してしまったしな。明日以降何日かは迷宮入りせずに色々こなそうかね。
とりあえずは遺品の配達、おやっさんへの武器の買取依頼、セフィさんのところでアレの精製をどうするか、やばいな、やることありすぎるわ。
あとはソロの問題か。
パーティを組むならミタマやフツノさんを頼ることも出来るが毎回ってのも難しいしなぁ。
かといって他の人間を雇用ってのもなぁ。今日は仲間を見捨てて逃げ去るやつら見ちゃってるしねぇ。
せめてあの獅子族の奴隷の男みたいな忠義のあるやつを雇えないもんか。
ん?奴隷??
それもありか…問題は資金だが今あるもの全部清算したらだれか詳しい人に聞いてみようか。

よし!方針も決まったところで帰ってメシ食って休みましょう!!
今日の夕飯はなんじゃーろなー。

そして次の日、昨日聞いた冒険者たちの遺族へ形見を届けに住宅街へ向かっていた。
住所の判明していた二人は戦士のモンドと狩人のピーター。幼馴染だったらしく隣り合った住所だった。うーん、こういうのは気が重いなぁ。
でも、遺品があるないではかなり気の持ちようが違うのは経験済みだからな、あるものは届けてやりたい。

住宅街の隅にあるこじんまりとした並んだ家屋。
あまり立て付けの良くなさそうな扉をノックする。

「すいません、どなたかいらっしゃいませんか?」
「はい、少々お待ちください」

扉を開けて出てきたのは30代あたりに見える女性だった。

「こちらはモンドさんのお宅でよろしかったでしょうか?」
「そうですが…あなたは?」
「私は冒険者のノブサダと申します。息子さん…でよろしかったでしょうか?モンドさんの姿を最後に見たものです」
「確かにモンドは私の息子の名前です。ですが、それは一体どういうことですか?あの子に何が??」
「昨日ダンジョンの5Fで彼らはパーティでボスへと挑んでいました。私はその後ろで順番をまっていたのですが中へ入ったときには彼らの姿は無く残されていたのはこれらの武具やギルドカードだけでした」
「そんな…ああ、なんてことに……」

そう言って彼女は泣き崩れてしまった。
泣き止むまでその場で待っていた。慰めようにも俺にはそれかける言葉も見つからなかったからだ。

「こうやって亡くなったことを教えてくださるだけでも感謝しないといけませんね。ノブサダさんでしたか、わざわざありがとうございます」
「いえ、家族を亡くす辛さは私も知っていますので…。重ねてお悔やみ申し上げます。それでですね、彼の遺品であろう武具を回収してきました。形見の品として受け取ってもらえますか?」
「よろしいのですか?」
「ええ、供養の意味もありますし家族の手に戻ったほうが亡くなった彼も本望でしょう」
「ありがとうございます。遺体すら残らないダンジョンですから供養することのできる遺品があるだけでもきっと幸せなのでしょう」
「それでは俺はこれで失礼します。となりのピーターさんのご家族にも報告しないといけませんので」
「ピーター君の家族はすでにお亡くなりになって彼は一人暮らしでした。私どもの家族と一緒に暮らしていたようなものでしたから」
「そうなのですか」
「彼の遺品もあるのでしたら息子といっしょに埋葬しましょう。二人は兄弟のようでしたから」
「お願いできますか?こちらが二人のギルドカードと一緒にあった武具です」
「たしかにあの子たちのものですわ。ううう…」

また泣き出してしまったがここで失礼することにした。一人になりたいだろう。

ふう、なんかやりきれないなぁ。だが冒険者は全部自己責任だから仕方ない。
願わくばあの二人はちゃんと成仏してほしい。

ちょっと沈んだ気持ちになりながら『焔の槌』へ到着する。

「おやっさーん、いますかー」
「おう、どうした」
「ダンジョンでの戦利品とちょっとわけありの品の買取の査定をお願いしたいなと」
「なんだと?」

おやっさんに事情を説明して昨日手に入れた品々を広げてみる。
戦利品
オークガードの大剣、ゴブリンの毒鉈

冒険者の遺品(戦士、修道士)
ブロードソード、スモールシールド、鉄の胸当て
アイアンメイス、バックラー、鎖帷子

「どうですかね?」
「うーむ、あんまり良い状態じゃないからな引き取るにしてもさほど値はつけられんぞ?」
「持っていても使い道が今のところないですからね。おやっさんにお任せしますよ」
「そうか、なら全部で600マニーってところだな。毒鉈がコレクターに少々高値で売れそうなくらいか。武器は並、防具はまぁ鋳潰して素材にするしかないような状態だな」
「わかりました、それでお願いします」
「わかった。それにしてもこいつはどこから手に入れたんだ?」
「街のダンジョンの5Fまで行って来ました。そのフロアボスがその毒鉈を落としましたね」
「そうか、そんな話は初めて聞いたがそんな低階層でなぁ。坊主も気をつけろよ?」
「ええ、さすがにソロではちょっときついかなーと思い始めたところです」
「なんだと!?坊主は一人で5Fまで踏破してきたのか?」

おやっさんは少々呆れ顔でこちらをみていた。あれ?それってそんなに変わってる??

「駆け出しの冒険者なら6人パーティでなんとかってところだぞ?こりゃあもう坊主とは呼んでいられんな」
「いやぁ、その毒鉈のせいでちょっとやばくなりましたけどねぇ。ソロだとちときついかなーと思い始めてます」
「ふむ、何にせよ無理だけはするなよ」
「ええ、それじゃ買取ありがとうございました」
「おう」

これで手持ちの所持金は31,364マニー。
人知れずダンジョンの中で消え去り、残るのは武具だけ。
その武具も二束三文。ほんと冒険者ってのはやくざな商売だよね。
お亡くなりになったあのパーティに合掌。俺らだけでもお悔やみ申し上げましょう。

————————————————————-

第37話 行ってみましょう、奴隷商館 その壱

休みだったので夢中になって書いてしもうた。本日二回目の投稿でごわす。
 だが本命はこれからなのだ!果たしてアレがどうなるか。

「せっふぃーさーん、こんちわーん」

タタタタ

今日はこけなかったか。

「あらぁ、ノブちゃん。一週間くらいかけるんじゃなかったのぉ?」
「いやぁ夢中になってたら昨日だけで5Fいけちゃいました」
「あらあら、無理はしちゃ駄目って言ったのにねぇ」
「ははは、で、こんなものを拾ったんですが…」

そう言ってオークガードのアレをセフィさんに見せる。

「これはまた、珍しいものを持ってきたわねぇ。品質も良いいわぁ。これならギルドならひとつ2,000マニーにはなるでしょうねぇ」
「これの加工って難しいですか?」
「そうねぇ、そんなに難しくはないわぁ。ノブちゃん一緒にやってみるぅ?」
「やります!」
「教える分の授業料だけど明日の分のポーションの加工がまだなのよねぇ…。ノブちゃん手伝ってぇ」
「始めっからそのつもりでしたか…昨日、飲んだでしょう!?」
「わかっちゃう?あぁん、怒っちゃ嫌よぅ」
「まぁこの後の予定も立て込んでるわけじゃないからいいですけどね。それじゃちゃっちゃと酒瓶片付けて加工しちゃいますよ。どれくらいいるんです?」
「仕込みは済んでるから最後の仕上げだけよぅ。ねかせてる間についつい飲んじゃった、てへ」
「…ラミアなのにマムシ酒飲んでるし…あー、3本も空けてるよ。セフィさん、もうちょい抑えて飲んでくださいね」
「はぁ~い、ノブちゃんたらお母さんみたいなんだからぁ」
「はいはい、ここは片付けますからセフィさんはポーション用の入れ物用意しておいてくださいね」

それから夕方までせっせとポーション作成に勤しんだ。
最近、この『引きこもりのラミア』のポーションは人気が出ているのだ。なぜなら不味くて飲みにくいポーションだが俺が一手間加えておかげで非常に飲みやすくなったのである。加工方法を色々試した結果、ヒラ草をすり潰さず改変して組み合わせた魔法を使ってフリーズドライにする。これを煮込み冷やした後にこして、同じくフリーズドライにしたピティアを加えるとまろやかな味わいになり効能も上がったのだ。

んで俺が加工して出来たのがこれになります。

ポーション(ピティア味)
品質:高品質 封入魔力:2/2
賞味期限:1年(残り355日)
効果:HPを回復する。飲んでも患部に直接かけても効果がある。子供も飲みやすいピティア味。

キュアポーション(ピティア味)
品質:高品質 封入魔力:2/2
賞味期限:1年(残り355日)
効果:効果:色々な毒を無効化する。飲んでも患部に直接かけても効果がある。子供も飲みやすいピティア味。効能は上がっているが1年分保存期間が短くなったのが難点。

ピティアを入れたことで賞味期限が短くなったのがちと問題だがこれを分かるやつはそういないだろうということで不問!今度はフラゴ(苺っぽい果実)味とかも試してみたいもんだね。

てってれ~♪錬金術のレベルが上がりました

んぉ、レベ神様久々の自己主張?そういや最近お供えしてないな。これは供物を捧げよとの催促か!?
まぁ、そのうちな!!

「ありがとぅ、ノブちゃんのレシピのおかげで随分売り上げがあがったのよぅ。その分、仕込みが大変でねぇ」
「数量限定にしてレア感上げてみるのもいいんじゃないですか?まぁ寝過ごす言い訳にはなりませんが…」
「んもぅ、それは言っちゃいやん。ささっ、アレの加工の仕方を教えるわよぅ」
「そうだった、お願いします」

ノブサダの3分錬金術~♪
1:オークの睾丸をドライの魔法でゆっくりと乾燥させていきます。
2:乾燥が終わったらすり鉢ですり潰し粉末にします。
3:オブラードっぽいものに包んで小分け(一包みで一回分)にし完成。

行程そのものは簡単だが1の乾燥させるところで魔法を長い時間維持するのが手間となる。
やっぱりこれも純魔力を込めながらやったら品質上がるのかね?練習込みだしやってみようか。

そして出来たものがこちらになります。

オーク印の煎じ薬×30
品質:高品質 封入魔力:4/4
賞味期限:1年(残り355日)
効果:精力増強、不能回復、不妊治療に大きな効果がある。

ちなみに店に残っていた同様の薬だとこうだった。

オーク印の煎じ薬
品質:良 封入魔力:1/1
賞味期限:1年(残り355日)
効果:精力増強、不能回復、不妊治療に効果がある。

OH,これは期待できるんジャマイカ。セフィさんに鑑定結果を報告する。

「あらあらあらぁ、これなら一包み500マニーで引き取れるわねぇ。馴染みの貴族様にこういうの欲しがっている人がいるのよぉ。ノブちゃん、これうちの店に卸してもらってもいい?」
「いいですよ。販路もないですしね」

ん?500マニー??つまり15,000マニー!?

「はい、これが御代よぉ。また手に入ったらお願いねぇ」
「これだけいい値がするとオークを刈りつくしたくなりますね」
「確か10Fだったかしらぁ。無理しちゃだめよぅ」
「まだ先は長いですからね。無理はしませんよ。それじゃ今日はここであがります」
「はぁーい、お疲れ様。お手伝いありがとねぇ」

所持金は46,364マニー。一気に懐ほかほかである。これなら奴隷商館へ行ってもなんとかなるだろうか?というか信用のおける店とか知らないしもうちょい煮詰めてからにしようか。

あー、なんだかんだで今日も働いた気がするなぁ。今日のメニューはチーズコッコカツだったはず。ドヌールさんになにかいいメニューないかと聞かれて教えたんだよね。いまではかなりの人気メニューとなっている。コッコの中でも脂肪分の少ないササミ部分を使っているから結構あっさり食べられるんだよね。ただ、数量限定なので早いとこ頼んでおかないとだな。

さっそく『ソロモン亭』の食堂へと足を運ぶ。

「お、ミネルバちゃん。ただいま」
「おかえりなさい、ノブさん。お客様がお見えですよ?」
「へ?俺に??」
「ええ、戻ってくる時間が分からなかったですし言付けなら承ってますよとお伝えしたんですが待っているとのことでしたので。あちらの二人連れの方です」

促された先を見てみると、ああ、あの時の…たしかレーヴェだったか。それにあの貴族の坊ちゃんもいるようだ。
お、こっちに気づいたか?二人がいる席へと向かうか。

「たしかレーヴェだったか。槍を返しにきたのか?」
「おお、ノブサダ殿。あの時は助かり申した。我が主が貴殿にどうしてもお礼をしたいと仰せでな。こうして待たせていただいたのだ」

ふむ、そうなのか。ってあれ?なんか貴族の坊ちゃん、なんかぷるぷる震えてるぞ?
金髪碧眼、線は魔術師っぽいからかなり細い。いかにも坊ちゃんな感じだが目はくりっとして女性受けはよさそうな幼さを残した顔立ちだね。

「あなたがノブサダ殿っすか!レーヴェから助けていただいたと聞いてから是非お会いしたかったんす!!」

うぉぅ、なんか憧れを込めたようなきらきらした目でこっち見ておる。いや、そんなたいした者じゃないって。

「俺のあこがれる冒険者像を体現したようなところに痺れて憧れるっす。兄貴って呼んでいいっすか?」
「えーっと、レーヴェ。これはいったいどういうこと?」
「うむ、ジョー様は物語に出てくる冒険者にまっこと憧れておってな。お館様の制止を振り切り冒険者となられたのもその憧れありきなのだ。それゆえ、颯爽と現れ我らを救ってくださったノブサダ殿に恩義と羨望が重なっていらっしゃる」
「うぇあ、俺はそんなたいしたもんじゃないって。どうみても俺のほう歳下に見えるだろうよ」
「せっかく雇った冒険者もあの体たらくで、ああ、このまま俺は死ぬんだと思いながら気を失っていたんすよ。意識を取り戻してレーヴェから話を聞いたときはもう喜びで震えました。俺の憧れそのものが居たわけっすから。身長?年齢?それよりも男の器ってやつっすよ」
「たまたま通りかかっただけさ。そういやあの二人組はどうなったんだ?」
「あの二人っすか?契約違反とギルドからの罰則で奴隷落ちになったと聞いているっす。兄貴が居合わせなかったら階段付近で休んでいたパーティも危険な目にあったわけっすから。その階段付近のパーティにも声をかけずに逃げたらしいっす」
「やっぱりか。自業自得だな」

うん、まったく同情する気にならない。

「まぁなんだ一緒に行く仲間は吟味したほうがいいな。俺もあれをみて色々考えさせられたよ」
「兄貴はパーティを組んでいるんすか?」
「いや、ソロだな。そろそろ人増やそうと思っていたがたいした伝手もないんでね。奴隷を購入しようにもいい奴隷商館を知らないしなぁ」
「それなら俺がレーヴェを購入したところを紹介するっすよ!王都にも支店を持つ店で実家でも懇意にしている信用できる店っす」
「それは助かるがいいのか?」
「ええ、それくらいお安い御用っす。俺も兄貴とパーティ組みたいっすけどどう考えても足手まといっすから…。もし俺が兄貴と肩を並べるくらい強くなれたら一緒に組んでくれるっすか?」
「それは構わないが、俺だって冒険者になってまだ一ヶ月そこそこだぞ?」
「すごい!やっぱり只者じゃないっすよ」
「褒めてもなにもでないぞ。まぁ強くなりたいってのは俺もそうだったしな。ジョーは魔術師だったか?」
「ノブサダ殿、いかに貴殿と言えどジョー様を呼び捨てにするのはいかがなものか」
「レーヴェ控えよ。俺は兄貴にそう呼んでもらえるほうが気安くていいんす。話がそれたっすね。兄貴の言うように俺のクラスは魔術師っす」

一瞬、貴族っぽい顔が見え隠れしたがすぐに先ほどまでと同じしゃべり方に戻る。やはり貴族の子なんだなぁ。

どれどれ?ちと鑑定っと。

名前:ジョー・ライエン 性別:男 年齢:14 種族:普人族
クラス:魔術師Lv6 状態:健康 ライエン家次男
称号:なし
【スキル】
風魔法Lv3  生活魔法 片手棍Lv1

名前:レーヴェ 性別:男 年齢:31 種族:獣人族(獅子族)
クラス:獣戦士Lv21 状態:健康 隷属(主:ジョー・ライエン)
称号:なし
【スキル】
両手剣Lv4 頑強Lv2 回避Lv2 身体強化Lv2  危険察知Lv3 夜目

流石、レーヴェは強い。獣人族らしく身体能力が高いな。ジョーのほうはレベル6だが風魔法が3なので随分と才能があるのかもしれないね。先が楽しみな逸材だな。

「俺の師匠の受け売りだが後方に位置する魔術師でもある程度の体術はあったほうがいいぞ。追い詰められたとき心得があるか無いかでは大きな差がでるからな。丁度良い先生がお前さんにはいるだろう?」
「丁度良い先生…っすか?」
「レーヴェなら生き抜く術を色々知っているだろう?まだ若いのだし焦らず少しずつ覚えていけば良いさ。俺も死に物狂いで師匠に教わったしな」
「兄貴の師匠ってどなたなんす?」
「ああ、ここの衛兵総隊長のマトゥダさんだ」
「あの戦鬼が師匠っすか!流石兄貴っす。兄貴が言うとおりレーヴェから学びつつ鍛えていくっす」

あ、レーヴェが感慨深そうに頷いている。持ち上げたらちょっとうれしかった?

「それとこれはお借りしていた槍と父からのお礼っす。どうぞ受け取ってください」
「御館様にも此度の件にはご報告申し上げたゆえに。いずれ機会があればノブサダ殿にもお会いしたいと仰られており申した」

レーヴェから槍とお金が入ったであろう袋を受け取る。中身は見てないがなんか袋自体がお高い雰囲気を漂わせておりますがな。

「こちらが奴隷商館『獣人演義』への紹介状になるっす。これから連絡を入れておくので明日以降尋ねてもらえれば融通利かせてくれるはずっす」
「なにからなにまで悪いな」
「いえ、兄貴がいなければここにはいなかったわけっすから。これくらいどうってことないっす。それじゃ俺達はここで失礼するっす。また来ても良いっすか?」
「ああ、構わんよ。なにかあればここに言付けてくれればいい」
「はい!それではまた!」
「これにて御免」

ふーむ、思わぬところで伝手ができた。人助けはしておくものだな。
明日は早速『獣人演義』へ行ってみよう。
そういえばお礼っていくら入ってるんだろう。
小袋をちらりと覗き込んだ………。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい、金貨3枚も入ってるよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
流石、貴族。ぽーんと金貨を出してきた。

ありがたいのだが大金稼いだと思ってた今日の稼ぎの倍をあっさり手に入れてしまいなんかもやもやしています。

あ、ちなみに話し込んでいる間にチーズコッコカツが品切れになっていた、ぐすん。

12/14 ジョーの兄貴のくだりを加筆修正
————————————————————-

第38話 行ってみましょう、奴隷商館 その弐

 素振り+木材=薪割り

「フッ!ハッ!よいしょぉ!」

1時間ほどかけて薪を纏め上げる。
月猫を手に入れてから『ソロモン亭』の裏で薪を積み上げる日々である。
刃こぼれが魔力で修復するからできる鍛錬だよね。

「ミネルバちゃん、今日の分積み上げといたよー」
「はーい、お疲れ様です~」
「ちょっと聞きたいんだけどツインの部屋って空いてるかな?」
「えーっと、ええ、空いてますね。ツインだと食事が二人分ついて90マニーになります。どなたか一緒に泊まられるんですか?」
「まだどうなるか分からないんだけどパーティメンバーを増やそうかとね。今日、奴隷商館にいってくるよ」
「奴隷ですか…」
「う、なんかまずかった?」
「いえ、他の冒険者だと奴隷にベットを宛がうことがないので珍しいと思いまして」
「まぁ他のやつは気にしない気にしない。まだ買えるかもわからないしね」
「分かりました。部屋の清掃は入れておきますね」
「帰ってきたらすぐ報告するよ。んじゃいってきます」

「イイコイルヨー、イマナラ一晩200マニーポッキリヨー」

さて所変わって昨日教わった奴隷商館『獣人演義』前でございます。

ここはススキノ、カブキチョウかってのというくらいの歓楽街の一角にそれはありました。

「いらっしゃいませ。当館のご利用は初めてでいらっしゃいますか?」

店に足を踏み入れると黒服の獣人がこちらへ訊ねてくる。

「ああ、ライエン家のジョー殿から紹介を受けてきたんだが話は通っているだろうか」
「少々こちらでお待ちいただけますでしょうか?主人へ確認してまいります」
「ああ、お願いする」

あーーーーー、緊張するわぁ。こちとら小市民なんですがな。こういった雰囲気は苦手だぜ。
通された部屋は豪勢な応接室だった。
うーむ、俺普段着なんですっごい浮いてるんですがね。
しまった、どうせならジョーから奴隷の相場を聞いておくんだったよ。
買う時になって足りないってすごく恥ずかしいぞ。

程なくして応接室の扉が開く。
黒いドレスに身を包んだ妙齢の女性がこちらへ歩み寄ってくる。

「はじめまして、ノブサダ様でいらっしゃいますね。ライエン様よりお話は伺っております。何でも前途有望な冒険者の方だと」

ジョーーーーー!なんでそこで持ち上げているーーー。

「いや、まだ駆け出しなのでそこまで持ち上げられると恐縮するな」
「そうご謙遜なさいますな。私、当館の主人でキリシュナと申します。以後お見知りおきを」

キリシュナと名乗った女性を改めて見てみる。

名前:キリシュナ 性別:女 年齢:36 種族:獣人・妖狐族
クラス:奴隷商人Lv32 状態:健康
称号:なし
【スキル】
火魔法Lv4 交渉Lv5 鑑定Lv3 契約魔法 生活魔法
スリーサイズ B92 W60 H88

妖艶な感じの狐の獣人さんである。どことなーくフツノさんに似ている気がする。胸もでかいし!
なんてこった俺の魔眼はついに禁則事項を公開できるほどに成長しやがった、しやがりましたよ。

てってれ~♪偽装のレベルが上がりました

うぉ、どうやらこっちも見られていたらしい。
隠蔽さんがんばってくれ!

「ノブサダ様、本日はどういった奴隷をお望みでいらっしゃいますか?」
「ああ、パーティメンバーとして連れて行ける者を探している。強い弱いは問わない。なにぶん初めてなのでね」
「ご予算を伺ってもよろしいでしょうか?それに合わせて準備いたしましょう」
「さし当たって4万マニー前後で頼む。というか相場すら知らなかったのでね。これで足りるだろうか?」
「4万マニー前後となりますと高額の奴隷は無理ですがそれ以外でしたら概ね間に合うかと思いますよ。それではご案内いたします」
「むぅ、主人自らよろしいのか?」
「ライエン様からご紹介いただいた方を他のものに任せるわけには参りませんから。どうぞこちらへ」

むむぅ、ライエン家はそんなに影響力が?そもそも爵位すらしらねぇよ。帰ったら誰かに聞いておかないとな。

廊下を抜けて一番奥の部屋へ入ると女性がずらりと並んでいた。あるぇ、俺、女性のみとか指定してないんだけど。ちらりとキリシュナを見やれば何食わぬ顔で佇んでいる。

数えてみると7人。女性達が着ているのは体をすっぽり覆う薄手の服一枚。体のラインとともに突起がバッチリポッチリみえている。しかも、膝上までしかないから綺麗なおみ足が眩しい。いかん、俺の暴れん坊が元気になりそうで不安だ。頭の中で般若心経を唱え雑念を払いながら見極めに集中する。

「左から若い順となっております。戦闘スキルなどを持ち冒険者として活動できる年齢の者ばかりを集めました。また全員、性奴隷としても了承を得ていますので考慮くださいませ。右端の者以外は皆純潔を保っております」

うぉぉぉぉい、俺をどういう風に見ていますか。いや、うん、確かに自家発電で済ましておりますから興味が無いといえば嘘になりますけどね!
普人族が3人、獣人族が3人(虎、猫、牛)、ドワーフ族が1人と多種多様だった。
一番左の普人族の娘はどう見ても10歳くらいだぞ、流石に犯罪ではなかろうか。ないな、これはない。
牛人族ってミノタウロスなのかなんて思ってたらそんなことはなくとんでもない爆なお胸様をお持ちのお方です。でも腹筋はがっつり割れてます。腹筋好きな人にはたまらないでしょうな。

むぅ、これは悩むな。
そんな中やはり目を引くのは虎の娘様。すごく強そうです。

名前:ティーナ 性別:女 年齢:19 種族:獣人・白虎族
クラス:獣戦士Lv17 状態:健康
称号:なし
【スキル】
片手剣Lv3 盾術Lv4 格闘術Lv3 回避Lv3 身体強化Lv2 指揮Lv1 夜目
スリーサイズ B84 W59 H89

真っ白な毛並みが特徴的な女性で釣り目がちょっときつめの性格を窺わせる。
これまたボンキュボンでスタイルがいいな。俺の何かが天○突破しそうです。

「こちらの娘は少々事情がございましてお売りする場合ある条件を満たしていただかないといけないのです。当館では奴隷であっても意思を尊重しより良い主従関係を結んでいただくよう心がけているのですよ」
「ふむ、その条件とは?明らかにこの娘だけは他の娘より抜きん出ている気がするが」
「お目が高いですね。本来ならば4万マニーでは身請けできませんがこちらの条件を満たしていただけるのならご契約させていただきます」
なんとなーく条件が分かるような気がする。だがこの戦力は魅力的である。この子見た後では他の面子だとちょっと物足りないもの。
「ふむ、ならばその条件を教えていただこうか。この娘を譲り受けたい」
「畏まりました。それでは場所を移動させていただきます」

キリシュナに連れられて移動した先は修練場だった。というか奴隷商館に修練場!?
どんだけの規模あんのよ、この奴隷商。
修練場の中央に俺とティーナが相対している。

「ティーナを身請けする条件は素手で彼女を制することです。身請けする本人が戦わないといけません」

やはりか。肉体言語で語れってことですね。

「あたいに勝てたらあんたのものになろう。力の無い者は主と認めないからね」

すでに彼女は稽古着っぽいものに着替えている。助かった、さっきまでの服でやられたら俺の弱点まるだしである。

「こっちはいつでもいいぞ」
いつものごとく魔力を纏い相手の出方を探る。今回は女性が相手なので打撃は使いたくない。相手に失礼だとかそういうのよりも俺自身の心情的に無理!
「余裕だね、だったらいくよ!」

ぐんっと一足飛びに跳ねて突っ込んできた。はぇぇな、おい。
しなやかな体躯、そこから繰り出される拳が真正面から俺を捉える。

「ぐぬぬぬぬ」

硬質化した魔力纏で強化した十字受けで受け止めたが重い拳だな、おい。これは屈服させ甲斐があります。この戦力は是非とも欲しいですよ。
「っつぅ、なんだこの感触。面白い技もってるなあ。くくく、あたいが欲しいならもっと感じさせておくれよ」

むむむ、なんかエロイですよ!というか絶対バトルジャンキーですね。まったく、楽しいひと時になりそうじゃないの。

「どんどんいくよおぉぉぉぉ」

小刻みに連撃を入れてくるがその狙いがエグイ。急所ばかりだよ。
それをひとつひとつ丁寧にいなしつつティーナを観察する。一撃はそこまで重くないが狙いが的確なのでまともに喰らえば行動不能になってもおかしくない。

冷静に相対してて気づいたことがもうひとつ。

キリシュナは明らかにこっちを観察というか吟味している気がする。ライエン家との兼ね合いかそれともさっきの鑑定でなにかしら気づいたか?やはり油断できない相手のようだ。

「余所見とは随分と余裕だね」

溜めを入れて強烈な突きを繰り出すティーナ。
しかし師匠に比べれば遅い!
懐へ入りティーナの服の袖を掴み巻き込みながら腰で跳ね上げる。

ズダァァァン

修練場の地面にティーナが背中から叩きつけられた。

「かはっ」

受身も取れずしたたかに打ち付けられ呼吸もままならない彼女へ一気に決めるべく追撃を仕掛ける。
すかさず左腕で首を抱え裸締めの体勢に入った。

「ふんぬっ」

がっちりと決まった裸締めに苦悶の表情を浮かべるまもなく数秒後あっさりと意識を手放すティーナ。
うまいこと頚動脈を決めれたようだ。態々、苦しめるような趣味はないからな。

「これでいいのか?さっきからこっちを随分と値踏みしていたようだが」

こちらを観察していたキリシュナへと声をかける。

「これは失礼を。初めて見る技なものですからつい見入ってしまいました」
「そうかい。彼女の介抱を頼むよ。外傷はないからすぐ目を覚ますとは思うが」
「畏まりました。別室を用意いたしますのでそちらでご休憩ください」
「ああ、すまないな」

別室にて汗と埃を落とし休んでいると意識を取り戻したティーナが連れられてやってきた。

「お待たせしました、ノブサダ様」

ティーナは埃だらけだった稽古着っぽいのから着替えネグリジェのような薄手の下着一枚になっている…ってなんでよ!?ピンクの突起がはっきりと見えております。エマージェンシーエマージェンシー、俺の理性がピンチですよ。

「なんでそんな格好を!?」

うろたえる俺を尻目にキリシュナは説明を続ける。いい性格しているようだな、おい。

「これより奴隷紋を施しますので裸に近い姿でおります」
「奴隷紋?」

契約魔法の一種で魔力を使って紋章を刻み込み主従契約を施す方法だそうな。

「私が刻んだ紋章の上へ血を一滴垂らしたあとノブサダ様の魔力を流せば奴隷契約の完了となります。契約が完了するとノブサダ様に対して危害を加えることは出来なくなります。紋章を通じて魔力を通すことにより命令へ強制力を持たせることも可能です。また、契約の際に遺言等の登録ができます。ノブサダ様の死後奴隷の扱いをどうするかですね。なにも設定しなければ殉死する契約になっております。死後の解放、他者への譲渡など登録することができ、これは有料ではありますがあとで変更することもできます」
「なるほどね。とりあえず今は遺言はそのままでいい」
「畏まりました。それでは全ての費用込みで4万マニーとなります」
「わかった」

ポーチから金貨を4枚取り出し側に控えていた黒服へと渡した。さようなら金貨。また会おう!!

「確かに4万マニーお預かりしました。それでは紋章を刻みますのでノブサダ様もご準備を」

そういうとキリシュナはティーナの首筋に指を這わしていく。指でなぞった線から黒い光が紋章の形となっていく。

「では、こちらへノブサダ様の血を」

預かっていたナイフで指先を切りつけ紋章の上へ血を垂らす。血を垂らした紋章が一瞬赤い光で染まり黒へと戻る。

「これにて契約は完了です。それでは簡易ながら服を準備しておりますので着替えさせて参ります。ノブサダ様はこのまましばらくお待ちください」
「ああ、分かったよ」

待つこと10分ほど。簡素な服に身を包んだティーナがキリシュナと部屋へ戻ってくる。

「ノブサダ様、当館のご利用ありがとうございました。またご利用する機会があれば当館をよろしくお願いいたします」
「そうだな、いい出会いが出来たと思う。パーティメンバーの補充をする時はまたくるよ」

ティーナを連れて『獣人演義』をでる。

「丁度昼時だしどこかで食事しながら今後のことを話そうか」
「畏まりました、ご主人様」

むぉ、口調がかわっとる。それもいいんだがやはり堅苦しいな。

「ああ、口調はさっきの戦闘のときのように普段は自由にしていいよ。堅苦しいのはあんまり好きじゃないんでね」

そう言うと硬かった表情も幾分和らぎこちらへ笑顔を見せてくる。

「そうかい、あたいもかたっくるしいのは苦手でさ。さっき姐御にきっちり言い含められたんだけどやっぱり駄目なんだなぁ」

姐御ってのはキリシュナのことか。結構慕っている感じだな。

「うん、やっぱり笑顔のほうが可愛くて良いな」
「ちょっ、あたいが可愛いなんて馬鹿なこというなよな。柄にも無く照れちまうじゃあないか」
「いや、思ったことをつい口に出してしまっただけなんだがな…あ、あそこの定食なら量も多いしティーナも満足できると思うからあそこにしようか」
「話の流れだとあたいも一緒に食事することになってるけどいいのかい?普通、奴隷は主人と一緒に食事なんてしないもんだろう?商館でもそう教え込まれたしさ」
「俺はそんなの気にしない質だからね。ティーナは大事なパーティメンバーとなるんだから不自由はさせないつもりだ」
「本当に変わったご主人様だよ。あたいがいた戦場じゃ奴隷の扱いなんて酷いものだったからね」
「戦場?ティーナは軍人だったのか?」
「ああ、あたいはアレンティア王国の獣人部隊で部隊長をやってたよ」
「なるほどね。まぁ詳しい話は店で席についてからにしようか」

店へ入り俺はオススメ定食、ティーナはオススメ定食+コッコのグリルセットを頼んだ。そういえばやたらメニューにコッコが多いと思っていたんだがこれはこの街の外で大きな養鶏場があるからだ。豚や牛はそれほど多くは飼育されていない為、庶民の食卓へ上がるのはコッコがメインとなってしまう。ちなみに豚肉や牛肉はダンジョンの特定の魔物からドロップすることがある。供給されるこれらの肉はダンジョン産が主な為に入荷が安定しないのだそうな。

「さっきの話の続きだけどティーナは戦争捕虜になったのか?」
「そうだよ、あたいは捕虜になったあと保釈されること無く奴隷落ちになったのさ」
「でも部隊長くらいなら引き取られるんじゃないのか?」
「あとから聞いた話だとさ直属の上司だった男が義父の政敵でね。どうにもあたいが捕虜になった事実を握りつぶして戦死扱いにされてたらしいのさ」
「なんとまぁ、どこでもいるんだなそんなやつ」
「そうだねぇ、まぁあたいもあいつの命令を無視して部隊の被害を減らすのに苦慮してたからね。それも気に食わなかったんだろうさ」
「陰謀は有能で戦いは無能なやつか。厄介極まりないな、味方だと」
「そうだったよ、いつ寝首をかいてやろうかと思っていたくらいさ。で、なんだかんだで奴隷として流れていたところを姐御に拾われたのさ」
「キリシュナのことか?随分と慕っているようだが?」
「ああ、姐御は鉄面皮だから冷たい印象うけるけど本当は優しい面倒見のいい人さ。そういないぜ?奴隷の条件を叶えて売り手にすら強要することの出来る人ってさ」
「だな。俺も正直面食らったがどうしてもティーナが欲しかったからな」
「そんな事をさらっと言うなよ。ご主人様は天然の女誑しなのか」

ソンナコトハナイデスヨ。そもそもモテタ記憶など皆無ですからネー。

「それでだ。これからのことだけれどティーナには今後俺と一緒に冒険者のパーティとして活動してもらう。明日から早速だがダンジョンに潜るよ。今日はこれからティーナの装備と服や消耗品を買いに行こうか」
「ああ、ご主人様の命令に従うよ(モグモグモグ)」

おお、さっき来た料理を口いっぱいに頬張っておる。ティーナらしいといえるほど豪快な食べ方だな。

「それでだ。宿に着いたら詳しく話そうとは思うが君に守って欲しいことがある。まず俺の能力や情報を決して口外しないこと。俺のいたらない点があったら正直に話してもらうこと」
「分かったよ。戦って分かってたけど色々隠し玉持ってそうだものな(モグモグモグ)」
「ああ、まぁ他にもいろんな事情があるんだけどね。そういや、ティーナは生活魔法使えるのか?」
「いや、あたいは7つの頃から戦場を転々としていたからね。洗礼すらしちゃいないよ」
「そうなのか、どうせなら洗礼もしておくか?生活魔法がないと不便だろう」
「いいのかい?だったらご主人様と同じ神様がいいな。戦場じゃどんな神様よりも自分と仲間を信じてたもんだからどの神様を選択するとかよくわからないのさ」
「いいのか?俺の洗礼受けたのはあんまり人気ないぞ?」
「ああ、あたいはそれでいいよ。それにしても奴隷にここまで気を使うご主人はそういないよ?ご主人様こそそれでいいのかい?」
「問題ないさ。明日からは頑張って稼がないとだけどな!」
「ああ、あたいの力存分に見せてあげるよ」
「それじゃ食べ終わったようだしまずは宿の更新して武器揃えて洗礼までやってしまおうか」
「はいよ」

『ソロモン亭』に戻ってミネルバちゃんを探す。あ、いたいた。
「ミネルバちゃん、ちょっといいかい?」
「あ、ノブさん。どうしました?それに後ろの女性は…」
「ああ、さっき奴隷商館で身請けしてきたパーティメンバーとなるティーナだ。朝言ってたようにツインの部屋への移動をお願いするよ」
「分かりました。午後はお出かけですか?カギなどは戻られてからにします?」
「ああ、これから装備を整えに行って来るよ。1週間分先払いしておくね」
「はい、それじゃ準備しておきます。あと…その、ですね」

なにやら言いにくそうにモジモジしている。どうした?

「あまり大きな声や音は…その、ほどほどにお願いします」

えーっと…もしかしてそういうことですかい!?

「いやいやいや、あくまでパーティメンバーとしてだから、ね」
「あたいは性奴隷としても了承してるから構わないよ、ご主人様?」

そこ、爆弾投下しないの!!

「と、とりあえずそっちの方向はいいから!それじゃ買い物いってくるよ」

ティーナを引きずって脱兎のごとく宿を抜け出す俺。さっさとおやっさんとこ行っちゃうよ、もう!

————————————————————-

第39話 冒険のマスコット?爆誕!!?

「おやっさーん、いますかー」

宿から逃げ出すようにかけていった俺達は一直線に『焔の槌』に来ていた。

「おう、坊主か。今日はどうした?っと随分と別嬪な娘さんを連れているな。なんだお前も隅に置けないな」

にやりとこちらを見るおやっさん。

「いや、彼女は身請けした奴隷ですよ。今日は彼女の装備を見繕いに来たんです」
「ほう、それでどんなのが欲しいんだ?」
「さし当たって片手剣と盾を。あとはレザーアーマーあたりがあるといいですかね」
「ご主人様よ、どうしてあたいが片手剣と盾を使うってわかるんだい?」

あ、やべ!?識別してたの言ってなかったし。

「う、うん。まぁその立ち振る舞いからかな?まぁ詳しいことは宿に戻ってからで、な?」

どもる俺を不思議なものを見るような目でこちらを見つめている。あんまり見んといて照れるやないの。

ティーナは真剣な顔で武具を見つめている。
うん、美人さんのキリリとした顔はいいなぁ。

そうして彼女が選んだのがこちらの品でござんす。

ロングソード
品質:良 封入魔力:0/0
備考:片手で扱う長剣。材質は鉄。マウリオの技量により通常よりも品質が向上している。
値段:400マニー

鉄蟻の拳甲
品質:良 封入魔力:1/1
備考:アイアンアントの甲殻で作られている。拳を守る部分と小手の部分は取り外しが可能。マウリオの技量により通常よりも品質が向上している。
値段:340マニー

これは俺のとお揃いだな、予備の武器としてこれを選んだようだ。

ラウンドシールド
品質:並 封入魔力:0/0
備考:円形の木製盾で縁を鉄で補強されている。
値段:250マニー

レザーアーマー、レザーブーツ
品質:並 封入魔力:0/0
備考:革製の鎧と長めのブーツ。体の動きを妨げないように考慮されている。
値段:420マニー

ついでになくなっていた矢を40マニー分補充しておいた。
しめて1,450マニー。支払って残額34,284でおま。
懐が暖かくなったのは一瞬。昨日稼いだ金額はほとんど消費されました。さらばお金様。

結構、勉強してもらったおやっさんに礼を言って次は神殿へ向かいましょうか。

問題は丁度良くベルがいるかだなー。悲しいかなレベリット神殿(という名の掘っ建て小屋)へのお布施は非常に少ない。なので日々の糧や補修費用を稼ぐ為、ベルは他の神殿へ出張して癒し手のアルバイトをしている。
ふむ、カギは掛かってないからいるかな

「おーす、ベルいるかー」

パタパタと駆けて来る小動物。あの洗礼以降たまにお布施とか差し入れを捧げてたらなんとなく懐かれた。

「あー、ノブサダさぁん。どうしたんですか?」
「今日はお客さんだぞ。洗礼をいっぱつお願いするわ」
「ふぇあ、ノブサダさんはうけてますよね?」
「ああ、ティーナ入ってきてくれ」

外で待機していたティーナへ声をかける。

「あいよ」

「彼女に頼むよ」
「畏まりです。200マニーですよー。これで建てつけが悪くなった扉が直せます」

なんというか世知辛いことを言うなよ。

「あー、それは道具貸してくれれば俺が直すぞ?不憫すぎるから少しはいいもん食っとけ」
「おぉぅ、久方ぶりに人の優しさに触れた気がしますよぅ。患者さんやあっちの神殿のお姉さんからの悪戯で傷ついた心が癒されました」

うん、可愛い顔してる男の子ポジションで結構際どい悪戯をされるらしいのだ、女性陣に。ちょいと性的なものも含む。羨ましい様な…いや恐ろしいような気がする。

「いつもながら苦労してるのな。というかこないだ言ってたオルディス神殿の神官長(♂)から襲われかけたのはどうなったよ?」
「あれですか…奥様からどつきまわされて3週間の謹慎処分になったそうですよ。あれからオルディス神殿には行ってないのでそれ以降の詳細はわかりかねますけど…」
「強く生きろよ…。んじゃささっと洗礼よろしく」
「はいです」

「それでは神像の前にお立ちくださいぃ。そして片膝をついて目を閉じてくださいぃ」

それに促されるようにティーナが祈るような格好になる。

「六柱神が一柱、成長と才能の女神 レベリット様。新たなる信徒となりしこの者に加護と守護を与えたまえ。
信徒となりし者、ティーナよ。才能に溺れることなく正しき成長を続けることをここに誓いますか?」
「ああ、誓うよ」

そういえば俺んときもこんなだったなぁ。

「成長し身につけた力を悪意に任せることなく正しく奮う事を誓いますか?」
「誓う」

あれ!?また輝き強くなってない?やつか!やつなのか!!

「『…清く正しく美しいレベリット様に永遠の忠誠と献金を誓いますか?』」
「またお前かぁぁぁぁぁぁ!」
「『あ、ノブサダ君ちぃーっす』
「軽いな!相変わらず!!」

ティーナは突然のことに呆然としている。

「『いやいや、流石ノブサダ君。私の使徒として新たな信徒の獲得ありがとう!』
「そういや勝手に使徒(仮免)にしよってからに!異議を申し立てるぞ、訴えて勝つぞ」
「『えー、そう言わずに。良いではないか良いではないか』」
「ノリだけで押し通そうとするなよ?駄女神め…」
「『むぐぐ、相変わらずノブサダ君は容赦がないだわさ。でもそこに痺れる憧れるー』」
「それで、今回はいったいなんで降臨してきたよ」
「『軽くスルーですか…お姉さん悲しいったらないわ』」
「いいから説明をはよ。長いことやってるとベルがやばいんだろう?」
「『むむぅ、今回はお布施に奉仕活動、新たに信徒の獲得してくれたノブサダ君にご褒美をあげようとおもってきたのにい』」
「なんでだろう、嫌な予感しかしないんだが?」
「『まぁまぁそう言わずに受け取ると言ってぷりーづ。YES or はい で答えよ』」
「二回目だなそれ。まぁいいy…「『はい、言質いただきマシター』」…っておおい」
「『むにゃむにゃ…ほいほい…むにゃほいほい…どーーーーーん』」

レベリットが憑いているベルから閃光がほとばしる。
無駄にまぶしいわっ!!
光が収まるとそこには…あれ?なんも変わってないね。二人は呆然としているな。

「ご主人様、今のはいったい?」
「ノブサダさん、今、レベリット様が!?」

ああ、うん。二人とももちつけ。というかベルは自分に何が起こったか認識してる?

「とりあえず二人とも落ち着け、な」
『そうそう、落ち着きなっせ』

なんだと!?なにかがいる!声のしたほうの気配を鷲掴みにする。
わしっ!
なんか掴んだーーーーー。

『なーにーすーるーのー。きゃー、えっちー。不敬罪で神罰がくだるのですよー』
「お前、駄女神か!?」

掴んだものを見てみるとなんかちっこい2頭身くらいのデフォルメされた女神(?)がいた。

『みんなのファンシーマスコット・レベリット様、爆☆誕なのですよーーーー』

あ、二人ともまた固まった。そらまぁこんな珍妙なのが女神とか言ってたら固まりもするか。

「で、これはどういうこった?」
『ノブサダ君が膨大な魔力を捧げてくれましたのでマスコットサイズですが分体を現臨させることができたのですよー』

ちょっとまて!俺の魔力だと!?

名前:ノブサダ・イズミ 性別:男 種族:普人族?
クラス:魔法剣士Lv1  時空魔術師Lv1
状態:健康
称号:【戦鬼の弟子】
HP:204/204 MP:55,635/55,635(-10,000:小レベリットの維持に魔力1万を常に確保されている状態)

【スキル】
エターニア共通語 ???? ???? 家事Lv5 農業Lv3 剣術Lv4 両手槍Lv2 格闘術Lv4 偽装Lv4(up!) 投擲Lv2 魔力纏Lv3 回避Lv3 身体強化Lv2 トレジャーハンターLv1 神聖魔法Lv3 暗黒魔法lv1 属性魔法適正Lv3 並列起動Lv3 魔法改変  複合魔法 生活魔法 錬金術Lv2

【固有スキル】
識別の魔眼Lv4 レベリットの加護(小EX)(new!) ?????

【クラス】
異世界人Lv15 戦士Lv10 拳士Lv10 修道士Lv10 魔術師Lv8 呪術師Lv9 商人Lv1 農家Lv1 主夫Lv1 シーフLv10 狩人Lv1 錬金術士Lv1 魔法剣士Lv1 時空魔術師Lv1

【固有スキル】【レベリットの加護(小改)】が【レベリットの加護(小EX)】へ進化しました
【称号】【レベリットの使徒(仮免)】が【レベリットの使徒(名取)】へ進化しました

【レベリットの加護(小EX)】
本人とパーティメンバーのクラスの経験値とスキルの習得・熟練度の上昇にプラス補正が入る。(小EX)になったことによりに素晴らしきぷりちーなマスコットが追加された。

【レベリットの使徒(名取)】
成長と才能の女神レベリットの御使いとなった証。レベリットの名代として信徒へ知識などを教授することを許されたもの。使徒となったものの行動如何で神の間での勢力バランスが変わっていく。所持しているだけで効果あり。

うぉぁぁぁぁぁぁぁ、1万も常に使われてるってか。何してくれちゃってんのよ、この駄女神様。
うん、加護の進化、まったく意味ないし。

「だーめーがーみー、どういうことか30文字以内で説明せよ。事と次第によっては神殺しの偉業をしてのける覚悟がある」
『コワイ、コワイヨー。敬虔なる使徒の為に分体を創って手を差し伸べにキマシター』
「本音は?」
『この間奉納された栗きんとんが絶品でしたので憑いていけばつまみ食いし放題!』

のたまう駄女神の頭を鷲掴みにしてアイアンクローをぶちかます。

「おーけー、刀の錆になる覚悟は完了しているようだな。なぁに痛みは一瞬だ。綺麗に3枚におろしてやるよ」

ミシミシと指が駄女神の頭に食い込む。

『いーやー、いたたたたた。ノブサダ君へるぷ、へるぷみーー。ほんの出来心なんじゃよ』
「ほんの出来心で魔力1万も使うな!何人分だとおもってやがる」
『普通の魔術師なら100人分でございまする』
「それだけの量をこんなことに使いおってからに…」
『でもでも、いいこともあるよ!現臨している時間が長いほど加護が強くなっていくよ!でも、お供えも忘れないでね』
「む、むうう。だがこんなふよふよ浮いたモノを連れて歩いたらおかしいだろう」
『そこは大丈夫。ノブサダ君と親和性の高い人にしか見えないステルス仕様です。』
「なんで現代知識もってんだよ。はぁ、もういいよ。どうせ帰る気はないんだろう?」
『流石ノブサダ君、太っ腹~。本体の1億分の1くらいしか力はないけど賑やかしはまかせてちょーよ!』
「はいはい」

ってここまで話してて今更気づいた。これってあの二人は見えてるんだろうか?

「ベル、ティーナ大丈夫か?」

固まったままの二人に声をかけるが反応は薄いなぁ。

「の、のののの、ノブサダさん。そこにおわすのは本当にレベリット様なんですか!?」

あっ、ベルが動いた。どうやら見えてるらしい。あれ?ティーナは?

「……ふ、ふぁぁぁぁかわいい」

あれ、ミニ駄女神に視線が釘付けですネ。

「ご主人様、ソレさわらせてほしい…ダメかい?」

普段強気なアナタがそんな上目遣いで可愛くお願いしてきたなら俺に断る術はありません、ええ、ありませんともさ。

「かわいい、かわいいなぁ。ふふぁ」

恍惚の表情でミニ駄女神を愛でるティーナ。意外な趣味があったようです。

『やーん、くすぐったいのー。ノブサダ君へーるぷみーー』
「勝手に来た罰だ。ティーナの気の済むまで愛でられていなさい」
『殺生なーー』

ティーナがミニ駄女神に夢中になっている間にベルの説得に入る。

「なぁベルよ」
「は、はい」
「俺らの信奉する女神がこんなだと他に知れたらどうなる?」
「ただでさえ底辺な人気が地の底へと潜ります」

なにげに辛辣なことをいいなさる。

「ならばコレについては他言無用だ!いいな!!」
「はい、私は何も見ません聞きません言いません」
「ならばよし。さ、建て付けの悪い扉を修理するとしようじゃないか。あ、差し入れのサンドイッチもあるよ」
「わぁありがとうございますー」

よし、説得完了。ベルよ、いくらなんでもチョロいだろう?いつか変なのに捉まって騙されないか俺は不安ですよ?

————————————————————-

第40話 深夜の戦争、勃発

 建てつけの悪い扉をトンテンカンと修理して神殿を引き上げた俺達。
あんなんでも洗礼は大丈夫らしい。いいのかこんな神様で。
そしてやつは俺の周りをふよふよと浮いている。

「で、ずっとついてくるのか?」
『それはもう!おはやう から おやすめまでノブサダ君を見守る女神様ですよ』
「おやすめはポーチの中に突っ込むからな…」
『いやーん』

この駄女神はマジックポーチの中で安らかに眠れる仕様らしい。これで一応プライベートの守秘義務はOK?

さて、あとはティーナの服を買っておかないとな。

「ティーナ、あとは君の服や下着を買おうと思う。どんなのがいい?」
「あたいの?いやぁ動きやすければなんでもいいよ」

うむ、サバサバしていらっしゃる。んじゃとりあえず実用性重視なら『マニワの店』ですませようか。ぶっちゃけあの店主には会いたくないんだがなぁ。

店の扉を開けてやっぱり来なきゃ良かったと後悔したんだ。
そこには…。

ふん、はっ、むーーーん、はいっ!

鏡の前でポージングしている店主が居た。見ろ、ティーナも若干引き気味だよ。

「あらっ、いつぞやのマウちゃんのお気に入りの子ね。今日はどうしたのぉ?」

くっ、気づいたか。そっと扉閉めて出ようとしたのに。

「あー、ええ、ご無沙汰してます。彼女の下着と服を見繕いたいんですがありますか?」
「あらあら、これはまた魅力的なお嬢さん。荒々しいなかにしなやかな魅力が光っているわね」

お、思ったよりまともな対応で良かった。ティーナは若干引いてますけどね。まぁ店に入ってこんなのいたら誰でも引くわな。

「そんなアナタには動きやすいこちらのショーツとブラねぇ。でもやっぱり色気も大事だから黒なんてどうかしら?」

現代日本のように細かな装飾がついているわけでないシンプルな下着だが黒ってだけでどっきどきしちゃうのは俺だけかね。
ティーナはシンプルに白と黒の下着と上着数着を選んでいた。
しめて300マニー、端数はおまけしてもらった。
さ、逃げるように店を後にしよう。

宿に着いた俺達は荷物を整理するべく部屋へ入った。今度は310号室。3階の端の部屋だね。

さて、ティーナと今後について話ますかね。

「ティーナ、これから話すことに関しては完全に他言無用で頼む」
「まかせてくれ、ご主人様」
「ああ、ご主人様ってのもいいや。どうにも慣れないからね。ノブでいいよ」
「分かったよ、ノブ様」
「ティーナは前衛として前線で戦ってもらうが俺は前と後ろで臨機応変に戦うことになる」
「ん?ノブ様は弓でも使うのかい?」
「いや、俺は魔法が使える。今のところ火水風土、神聖、暗黒と六種類だな。で、俺の得物としては刀と槍、格闘。一応、弓と投擲のスキルもあるんだが普段は手元に武器が無いから多様はしないな」
「は!?」

ありあえないものを見たような顔をしているティーナ。まぁ話を続けるよ?

「あり得ない話だと思うが俺は異世界から召喚されてきた。手違いで変なところに召喚されちゃったんだけどね。なので色々と常識はずれなとこがある。その一つがクラスを自由に変更できる点かな。だから色んなクラスのスキルが習得できているんだ」
「そ、そうなんだね」
「で、俺にはある約束事があってね。あと3年弱たつ間に出来る限り強くなりお金を貯めておかないといけないんだ。漠然としすぎて俺自身どこまでの話なんだかよく分かってないんだが…。それを両立する為、ダンジョンを主に攻略していく方針だ」
「うーん、話が大きすぎてあたいはなんて言っていいかわからないよ」
「ま、ティーナはその戦闘能力を存分に発揮してくれればいいさ。あとは戦闘の指揮を俺に教えて欲しい。いままでほぼソロだったから魔法を放つタイミングとかね」
「それならお安い御用さ」
「よろしくな。あと鑑定に近いことができるから敵とかの情報収集はまかせてくれ」
「それでさっきあたいの使える武器が分かってたんだね」
「そゆこと。あとはあの駄女神だが、まぁあれはああいうものだと思っておいて欲しい。俺もよくわからない存在だ」
「ああ、うん、たまにまた愛でさせてくれれば…」
「あ、今晩抱き枕にしていいぞ」
「やたっ、流石ノブ様、話が分かる!」

ポーチの中のあいつには内緒にしておこう。俺の魔力を6分の1も使ってるのだからパーティメンバーの癒しくらい一役かってもらおう。

そうして大事な話も済み床についたわけだがここで俺にとって最強の敵が襲来することになる。
先ほどの宣言どおり駄女神はティーナに抱かれて一緒に眠っている。
恨みがましい目線を向けてきたが華麗にスルーしたがね。後でアメのひとつでも与えておけばいいだろう。女神相手に雑だと思われるかもしれないが相手はアレだ。まぁいいと思う、割とマジで。

で、寝入っているんですよ。
すぅすぅと寝息を立てて。

俺もぐっすり寝てはいたんだがちょっと目を覚ましちゃったらもうあかんかった。
夜中なんで小さな音もよく聞こえるんだよね。
寝息とたまにこう…ね。

「うぅん」

こう、艶かしいというかほんの小さな吐息とかもう駄目ですやん。服のすれる音も無駄に響くし気になって仕方ない。
目が冴えちゃって眠れないとです。

ええい、邪念を捨てろ…。
マリモが一匹、マリモが二匹、マリモが……。

ちゅんちゅんちゅん

「ううう、師匠だめです…マリモが…第三隔壁を突破し……」

『おきるのですよー、ノブサダ君。気持ちのいい朝なのですよー。起きて私のご飯をぷりーづー』

「はっ!スペースマリモに侵食されたカイルはどこいった!?」
『何の話ですかー?』
「いや、なんでもない」

いかん、マリモを数えながら寝れたのはいいがとんでもない夢を見てしまったようだ。
疲弊する地球を救う為、伝説の7つのマリモを求めて宇宙へと旅立った超ド級戦艦ヤマダの旅とかどうすればいいんだ。続きを是非見たいです。

「で、お前のご飯って何よ?」
『こう、手のひらに魔力を凝縮して玉状にしてくれればそれをぱくっと頂きますよー』

言われたとおりに魔力を手のひらに集めてみる。おお、本当に丸い玉状にできたよ。

「あれ?これが食事だったら菓子とかはいらないのか?」
『そこはほら人生には潤いって大事ですよね』
「お前は人じゃなくて駄女神だろうが」
『ううう、どんどん扱いが酷くなっている気がする、もぐもぐもぐ』
「大丈夫、仕様です」
『ぐすん、泣いちゃいますよ、私。あ、御代わりお願いします、特盛つゆだくで』
「お前はどこの牛丼屋だ…とりあえず今日からはダンジョンに潜るからお前はポーチの中で大人しくしていろよ?」
『はいはーい、丁度、三国志演義がいいところなんですよねー。もうすぐ赤壁の戦いなんです。きゃー、黄蓋さまー』
「マテマテ、どこから突っ込んでいいのか困るがどこから本だした、そしてなんで黄蓋よ。渋いなオイ」
『M男よろしく鞭を受けて耐える老年のアナタ。そしてさっそうと放火に走るのです。いいわぁ』
「お前の好みの基準はおかしい、絶対にだ!漢は黙って馬岱だろう!ここにいるぞー!!」
『ノブサダ君も大概マニアックですねー』
「否定はせん。あれ?ティーナは?」
『もう起きて裏で鍛錬してますよー』
「OH、寝坊したか」

裏庭ではティーナが片手剣を持って素振りをしていた。
洗練された騎士の扱う華麗な剣技というよりも戦場で磨かれた実戦的な荒々しい剣技だな。
時折、裏拳や蹴りが飛んでいるのは実戦的…なのかな?裏拳のところは盾で叩きつけるのだろうね。
夢中で鍛錬するティーナの邪魔にならない辺りで俺も鍛錬を開始する。

月猫を構えて一昨日のゴブリンを思い出し仮想敵とした。
毒鉈を構えるゴブリンを相手に魔法なしならどう戦うか考えながら月猫を振るう。
あの時の反省点は?完全に魔法に頼り切って毒鉈の動きへの反応が一歩遅れて一撃を貰ってしまった。
次への課題は?剣と魔法のコンビネーションをしっかり構築すること、プロテクション、魔力纏を強化してあれくらいの一撃なら完全に防ぎきる防御力を得ること、今後は一人じゃないから好き勝手に動けるわけではないことを念頭に入れ一手一手積み重ねていく。

派手にぶちかます魔法は控えていかないといけないな、誤爆怖いし。強化のち一撃加えてその後、遊撃?あとはティーナのくせとか覚えておかないとだなー。というか迷宮帰りにでも木剣買ってくるか。剣で打ち合ってみるのが手っ取り早いね。

様々な状況を想定しながら月猫を振りぬく。袈裟懸けに真っ二つになった仮想ゴブリン。こんなもんで今朝の稽古はいいだろう。
ふと気づくとティーナはすでに稽古を終えてこちらを見ている。

「おはよう、ティーナ」
「おはよう、ノブ様。それってニャマトの剣だろう?よく使えるなぁ」
「ん?これは俺の故郷で昔使われていた武器そっくりでね。似たようなのを使っていたから手に馴染むのさ」
「ふーん、ニャマトの連中は厄介なことしか覚えてないや。あのシノビとかいうやつらや命を捨てて突っ込んでくるブシドーとかいうのはかなり手を焼いたよ。あたいですら何度か死を覚悟したもんだ」

そういや、ミタマがニャマトを建国したのは異世界人だと言ってたな。もし昔の日本人がきてたらそんな考えの軍隊作ってて然るべきだわ。でも忍者とかいるのか…リアルくのいちに乞うご期待!!ぽろりもあるよ!?

「あーでもそれならニャマト行ってみたいなぁ。俺が欲しい食材・調味料がきっとある気がする。さ、朝飯を食べたら早速迷宮にいこうか?」
「そうしようそうしよう。ここの飯はうまいからいいねぇ」
「そうだろう、今度俺の手作り菓子もご馳走するよ」
「約束だよ、あたい甘いものに目が無くてさ」

ほう、ティーナは甘い物好きか。やはり女の子だなぁ。

「ティーナは可愛いな」

ティーナの頭と耳を撫でてみる。

「の、ノブ様…。あたいみたいな大柄の女にそんなの似合わないよ…」

ティーナは顔を伏せ照れて赤くなった顔をこちらへ向けないように必死だ。
やっぱり可愛いな。もう、好きなもの一杯作ってあげよう。その為にも今日は頑張って稼がないとな。

うっし、ちゃちゃっと準備しちゃいましょう。

MY TL BLOG!!!

Heyo!!!

Read my Soshite Fumetsu no Regunare in my other WP site!

New Pages!

Here comes another set of pages from Kouji’s 2koma.

There’s nothing really to say but here it is. You can now read it.

It’s back!!!

And here I am again with Kouji’s 2koma series with 9 pages total.

I hope I didn’t messed it up somehow or another. I’m off for some serious power leveling in 3-2-A.

Click here to read the new uploads.

BOMBA GUREPPU!!!

Who loves Bomber Grape? I do!!!

Reading those mangas full of explosions, rage, and hilarious stuff made me to do this doujinshi.

It’s called Admiral Serenade and you can read it here.

Anyways, new pages for Kouji’s 2koma Theater will be post tomorrow.

Part 2!!

Okay, here’s another 5 pages of Kouji’s work. Click here to view it.

I have another manga that I am currently eyeing right now. Maybe soon enough, I’ll work on it too.

First Project(?)

Hi! This is Sauri and welcome.

Today, I’ve have chosen my very first project or you could say my very first target of practice.

It’s called 2koma Theater. Story made by Yuuji and illustrated by Kouji.

Without further ado, click here to check the first four pages.

I’m planning to tackle more stuff I’ll find on Danbooru.

Reminder: Translations are not mine. They are done by the people on Danbooru. Don’t forget to thank them when you browse in Danbooru and also, visit the the pixiv page of the artist too! You might find some good stuff.

Greetings!

Hi! My name is Sauri and this is my random works.

Does it really matter if I do some random stuff?